No.45:JK2人、マクドの2階にて
週明けの月曜日。
学校が終わってから、私は今エリと一緒にマクドの2階に座っています。
エリにフィッシュバーガーのセットを奢らされてます。
「へぇー、瑛太さん、明日菜の家に来たんだ。着々と外堀を埋めていく感じ?」
「そんなんじゃないよ」
お母さんも小春も、瑛太さんのことを凄く気に入ってくれたようです。
小春も「優しそうな人だね」って、言ってました。
カッコイイとは一言も言わなかったのが、モヤっとします。
「エリ、ちょっと訊いていいかな?」
私は切り出しました。
「エリはさ、男の子と付き合ったことあるわけじゃない」
「ん? まあそうだね」
「男の子を好きになるっていう感情ってさ、どんな感じなのかな?」
「そこから!?」
「うん……もちろん恋愛感情としてだよ」
「うーん……まあ月並みだけど、もっと一緒にいたいなぁとか、もっとくっつきたいなぁとか?」
「ああ……」
それじゃ間違いなく、これは恋愛感情です。
私はこの間、エリも一緒に井の頭公園でダブルデートした帰りの話をしました。
もう少し一緒にいたいって言ったら、瑛太さんがアパートの部屋で紅茶を入れてくれたこと。
「えー! 明日菜、そんな大胆なこと言ったの?」
「大胆って……変だったかな?」
「変ていうか……よくそれで、紅茶飲むだけで済んだね」
「?……どういう事?」
「もう……瑛太さんに同情するわ。明日菜、天然だとは思ってたけど、ここまでとは……」
なんか私、ディスられてます。
「それはもう立派な恋愛感情だよ」
「やっぱりそうだよね」
「自分でも、わかってんじゃん」
「そうなんだけどね……ただこの後、自分でもどうなりたいか、わからないんだ」
「ああ、そっか。なるほどね……明日菜、瑛太さんに感謝しないといけないかもよ」
「?」
「エリの2人目に付き合った元カレなんだけどね、エリも同じことを思ったんだよ」
エリは過去2人の男の子と付き合って、今は彼氏がいないって言ってました。
「そうなの?」
「うん。私はその彼と一緒にいたいとは思うんだけど、相手はやっぱりヤリたいわけじゃん」
「ヤリたいって……やっぱりそうなのかな?」
「そう。でもこっちは迷うわけ。この人が初めてでいいのかなとか」
「そうだよね」
「で、なんとかごまかしてたら、勝手に離れていっちゃったんだ」
「そうだったの!?」
「うん。で、エリの話はいいんだよ。瑛太さんは、明日菜のそんな気持ちを分かってるんだと思うよ。明日菜自身が、まだどうしていいか分かってないってこと。それでじっと見守ってくれてるんじゃないかな」
「……瑛太さん、凄いです」
「あるいは何も分かってない超鈍感男か、どっちかだよ」
「両極端すぎる」
「だからそのままでいいと思うよ。瑛太さんが待っててくれてる限りはさ」
「……いいのかな」
「うん、あ、でも案外ああいうタイプって、優しいしモテるかもしれないからね。ライバル多いかもよ」
「そうなんだよ。長野の元カノさんも、今は東京にいるし」
「ああ、そういえば言ってたね」
「そっか……なるほど、わかったよ。ところでエリの方は、どうなの?」
「なにが?」
「もう……誠治さんとはどうなの?」
「ああ、よく連絡来るよ。この間もファミレスで奢ってもらった」
「そうなんだ」
「うん、まあチャラいところあるし、多分他に遊び相手もいるような気がするけど、悪い人じゃないしね。でも……」
「?」
「多分、誠治さんは私の事好きじゃないと思う」
「そうなの?」
「多分ね。なんかそういうの、わかるじゃん」
「わかるの?」
「うん……なんとなくね」
「ふーん」
私より数段恋愛上級者のエリが言うんだから、多分そういうことなんでしょう。
私は……もう少しだけ、瑛太さんに甘えることにしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます