拝啓 大友幸くん


 こうして君に手紙を書くのはなんだかとても恥ずかしいです。

 でも、勇気を振り絞って、恥を偲んで君に手紙を書きます。

 幸くん。

 私と出会ってくれてありがとう。

 私を受け入れてくれて、本当にどうもありがとう。

 幸くんに手を差し伸べられたとき、私は本当に嬉しかったんだよ。そうは見えなかったと思うけど、本当に嬉しかった。

 人生で一番嬉しかったかもしれないくらいに、嬉しかったんだ。

 幸くんと過ごした六ヶ月間は、私の中でずっと、まるであの日に見た夏の眩しい太陽みたいにずっと輝き続けています。(本当だよ) 

 幸くん。

 ……本当にどうもありがとう。

 私は本当に幸せ者です。

 だってこうして、笑って幸くんに手紙が書けるんだから、本当に幸せです。

 夏の日に幸くんと出会ってから、冬に幸くんとさよならをするまで、私はずっと幸せでした。

 楽しい気持ちでいっぱいでした。幸くんにはいっぱいいっぱい迷惑をかけてしまったかもしれないけど(ごめんなさい)、私は本当に毎日が楽しくですごく幸せでした。

 だから、ありがとう。

 本当の本当の本当に、私と出会ってくれて、……本当に、どうもありがとう。……幸くん。

 ずっと嘘をついていてごめんなさい。でも、幸くんはこれから楽しい人生があるのだから、ちょっとくらいの私の(人生最後の)わがまま(嘘)を許してください。

 ……それじゃあ、さようなら。

 幸くん。

 大好きです。


 P.S


 幸くんにお願いがあります。

 学校には絶対に行ってください。

 もし、学校に行ってくれるのなら、私からの贈り物として、この『手紙の中に入っているもの』をもらってください。(もし行かないのなら捨てちゃってください)

 大切にしてもらえると、すごく嬉しいです。

 ではでは、それじゃあ、……『またね』。幸くん。


 泣き虫な大友幸くんの親友。三田雪より。愛を込めて。

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宝石の夜 雨世界 @amesekai

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