第10話 体力テスト

中等部の敷地に戻り寮に向かう


「エルクは村から出てきたばかりなんだろ 

金はあるのか?」

ダイス君に聞かれる


「少しだけお小遣いをもらったよ。もしかして寮ってお金掛かるの?」


「寮では食事も無料ででるけど、何か欲しい時に困るだろ?必要なら貸してやろうか?」


「うーん、本当に困ったらお願いするよ。ありがとう」


「そうか、困ったら遠慮せずに言えよ」


「うん」


寮に到着して部屋に入る

なんと1人部屋だった。

しかも、家具とかめっちゃ高そう。


少し落ち着かないけど、いつもの日課として魔力を使い切る。今創ろうとしてるのは回復魔法だ。魔力量が増え、魔力回復率上昇スキルも創り終わった今なら、今日中に創り終わるだろう


ちょうど創り終わった頃

ドアをノックされる


「はい、なんですか?」


「夕食の準備が出来ましたので、食堂にお越しください」


寮で働くメイドさんに呼ばれた


「わかりました。行きます」


食堂へ行くと見たことない人もたくさんいた。多分他のクラスの人だろう


食事はビュッフェ形式になっており、好きなものを好きなだけ食べていいようだ。


村ではあり得ないな


僕は適当に選んで食べる


うーん、美味しいけど何か物足りないな…

そうか、調味料が置いてないんだ。

僕はコソッとアイテムボックスからソースを出す。

やっぱり揚げ物にはソースだな


サラダには胡麻ドレを掛けてっと


「うん、美味い!」


「ねえ、それなに掛けてるの?」

僕がご飯を頬張ってると女の子に話しかけられる


「ソースだよ」

 

「そんなに真っ黒なのに美味しいの?」


「僕はおいしいと思うけど、味覚は人それぞれだよ」


「それ、どこにあったの?」


「僕の私物だから置いてないよ」


女の子は残念そうにする。


「使ってみる?」


「いいの?」


「うん」


女の子はカツをとってきてそれにソースをドボドボかける


「あ、掛けすぎ」


「いいじゃない、少しくらい」


「そういう意味じゃ…」


女の子は真っ黒なカツを食べてしまう


「ひゃー、変な味がする」


女の子はすかさず水を飲む


「だから掛けすぎって言ったのに…」


僕はカツを取ってきて適量のソースをかけて渡す


「も、もういらない」


「掛け過ぎなければ美味しいよ」

疑いの目がすごい


「いらないなら別にいいけど…」

正直、僕はこの子が食べても、食べなくてもどっちでもいい


「……食べるわ」


女の子はカツを食べる。今度はちゃんと茶色を維持している


「あ、おいしい」


「でしょ?」


「うん、味に深みが出た気がする。…これ、売ってくれないかしら?」


うーん、あんまり広めたくはないんだよなぁ。

大量に作るのは面倒い


「量があまりないからね、1瓶だけならいいよ。後は自分の分しかないから無くなっても次は売れないからね」


これで広まりすぎることはないだろう。広まってももう無いと言おう


「いくらで売ってくれるの?」


妥当な金額がわからない


「好きな額でいいよ」

任せる事にする


「それなら、大銀貨1枚でどうかしら?」


宿屋が一泊で銀貨10枚だったから5日分か…そんなにもらっていいのか?


「……」


「不満かしら?なら金貨1…「大銀貨1枚で大丈夫です!」」

今この子金貨って言ったよ。金銭感覚おかしいんじゃないか?

「ならはい、これ」

大銀貨を受け取る……まあいいか。


僕はソースを渡す


「ありがと!」


女の子はルンルンで食堂から出ていった


数年後、ソースが大量に売られる事になる事をこの時の僕は知るよしもなかった……


翌日は体力と魔力を測定する為にトレーニングルームに朝からいた。


「まずは体力テストから始める」

昨日とは違う先生だ


「訓練はこれからも俺が担当するからな。覚えとくように」


「「はーい」」

みんなちょっと待って、この人名乗ってないよ……


「いくつか測定していくが、結果に左右するスキルを持ってる場合は自己申告するように。スキルの有り無し両方測定するから。強制では無いが、結果が良いほど成績に反映されるからな。そこは各自で考えてくれ」


実力を隠したいなら成績も落ちるよってことか……

さて、どうしようかな


細かいのも入れると結構関係しそうなのあるけど、身体強化だけでいいかな


まずは100m走だ。

僕はスキルがある事を告げる

「先生、身体強化のスキルをもってます」


それを聞いていた周りが騒めく


まあ、スキル持ちは珍しいらしいからな。


「ほう、さすが飛び級するだけのことはあるな。それでなんてスキルだ?」

ん?今言ったよな


「身体強化です」


「なんの強化か聞いてるんだが?」


「だから身体の強化です。なにを言ってるんですか?」

話が噛み合わないな


「それはこっちのセリフなんだが…脚力強化とか腕力強化とかあるだろ」


「いえ、それならそう言いますよ。身体能力が全般的に上がるスキルです」


「……そういう事にしておこう」

何故か考えるのを放棄したようだ。部分的に強化するスキルしか知られてないのかな?


僕はまずスキル無しで走る……25.54秒


「初等部でも、もう少し早いぞ」


体を動かすのは苦手だからしょうがない


次に身体強化をして走る……12.21秒


「かなり早くなったな。いいスキルを持ってる」


他に砲丸投げや垂直跳び、持久走をやったが、どれもスキル無しでは初等部の平均以下で、スキルを使うとこのクラスで上位になった。たまたまだが、理想の結果になったと思う


持久走2回は嫌がらせかと思ったけどな……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る