僕達の文体

作者 芋苗葉派

12

5人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

東京から引っ越してきた福島で、小学4年生のときに震災に遭った主人公の白鳥。元・東京電力の社員で、現在は「美的百姓」と揶揄されている父。容姿端麗で思慮深く、多感な四つ違いの姉。原発由来の放射能汚染に揺れる大人たち。あの頃、「僕」の目に映っていたものは――。

硬質な文体で「小難しい……」と思われるかもしれませんが、東日本大震災の影響が色濃く残る地で、主人公が見て、触れて、感じた物事についての考察に抗い難い魅力があります。比喩も個性的で面白く、数えきれないほど小説を読んできた身としても、新鮮な驚きと発見が多々ありました。

深刻な状況に置かれた土地で暮らす小学生でありながら、<やはり僕たちの世代には何かがある。何か背負わされたよろこばしい宿命のようなものがあるらしい>と思うその理由。普通に考えて「よろこばしい」ってどういうこと? と疑問に感じますよね?

でも、そうした違和感が読ませる(なのに先はまったく読めない!)じわじわ後をひく物語です。今後の展開にも大いに期待!


(「あなたに“刺さる”かもしれない物語!」4選/文=藤田香織)