第17話
今夜は公爵家主宰の舞踏会に招待されている。
パートナーにカルロを伴って、ホストである公爵令嬢のミカに挨拶する。ちなみにコイツもカルロを狙っている。ただし公爵令嬢ともなれば、当然既に婚約者が居る。ちゃんと隣にパートナーを侍らせている。
それでも尚、カルロを狙っている理由はなんのことはない、カルロの方が圧倒的にイケメンだからだ。全く持って節操の無い女である。
「ミカ様、今宵はお招き頂きましてありがとうございます」
「ようこそお越し頂きました。ごゆっくり楽しんで下さいませ。フフッ、それにしてもお二人は本当にお似合いのカップルですわね。羨ましいですわ」
「まぁ、ありがとうございます。ミカ様方もとっても素敵ですわ」
「「 ホホホッ! 」」
...こう言った貴族の化かし合いは本当に疲れる...もちろん、実際はこうだ。
『フンッ! あんたなんかとカルロが釣り合う訳ねぇだろ! 全然似合ってねぇっての! カルロに相応しいのはこの私よ! あんたには私の隣に居るこのボンクラがお似合いだっての! フフフッ! でも助かったわ! このボンクラが、物好きにもあんたのことを気に入ってくれて! お陰でとっても良い作戦を思い付いたんだもの! 私がカルロとあんたを引き離して、その隙にこのボンクラがあんたを誘う! そこであんたに即効性の媚薬入りカクテルを飲ませて、このボンクラがあんたを別室に連れ込めば、あとは既成事実まっしぐらよ! フフフッ! あんたは今日で終わりよ! このボンクラと仲良くやりなさい! 私がカルロを慰めてあげるから! そして何れは...ムフフ♪ 我ながら完璧な作戦よね! さぁ、私の手の平の上で踊りなさ~い♪』
...清々しい程のクズだな...この女どうしてくれよう...そもそもパートナーを入れ替えようだなんて考える方がどうかしてるし、唯々諾々とこの女に従ってるこのボンクラにも怒りが湧いて来る。
思い知らせてやろう。自分達がどれほどクズかってことを。
◇◇◇
私はファーストダンスをカルロと踊った。1曲目はパートナーと踊ることになっている。曲が終わりに近付いて来た頃、ミカとボンクラがこっちに寄って来た。2曲目はパートナーを替えようと言って来るつもりなんだろう。だがそうは問屋が卸さない。
私はカルロの耳元で囁く。
「ねぇカルロ。もう1曲一緒に踊ろう?」
「喜んで!」
こうして2曲目もカルロと踊った。ミカとボンクラが歯噛みしているのが見える。やがて2曲目も終わりに近付いて来た。またまたミカとボンクラが寄って来る。
私はまたまたカルロの耳元で囁く。
「ねぇカルロ。私、喉が渇いちゃったわ。何か飲まない?」
「喜んで!」
私達はダンスフロアを後にしてカクテルコーナーに向かった。ミカとボンクラも慌てて付いて来る。
さぁ、本番はこれからだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます