第12話
お茶会の会場は修羅場と化していた。
「あがっ! いぎっ! うぐっ! えげっ! おごっ!」
ララは鼻から口から毛穴から、とにかく穴という穴から体内の水分が流れ出し、言葉も喋れないほど酷い状態だし、
「「「 うがぁっ! 目がっ! 目がぁ~! 」」」
ララの飛沫をまともに浴びた三人娘は、目を抑えて転げ回っている。私はと言えば、扇子でしっかりガードしたので被害は無い。幸いドレスにも掛からなかったようだ。
私の聖女の力を持ってすれは、彼女達を癒してあげることは可能だろう。もちろん、そんなことはしてあげないが。
私は聖人君子じゃあ無いんで、自分を害そうとしたヤツらに情けを掛けてやる程のお人好しじゃあない。因果応報というヤツだ。せいぜいのたうち回って苦しむがいい。
私は喧騒真っ只中のお茶会の会場をそっと後にした。
◇◇◇
後で聞いた話だが、ララが私のお茶に盛った「ドラゴンズ・ブレス」という唐辛子は、食べると命の危険すらあるために食用には向かないそうな。皮膚の感覚を麻痺させるほどの辛さがあるとのこと。
それってほとんど毒じゃねぇか! 嫌がらせのレベル越えてんぞ! 殺す気か! まぁ私には聖女の加護があるから、たとえ知らずに飲んだとしても、命を落とすようなことはなかったと思うけど、それでもある程度は苦しむことになっただろう。
そう思うとララのやったことは許せない。やっぱりあの時助けてあげなくて正解だった。つくづくそう思った。
◇◇◇
波乱のお茶会の翌日、三人娘は揃ってお休みだ。リズの様子をチラッと見たが、瞼がパンパンに腫れ上がって試合後のボクサーみたいな顔になってた。恐らく残りの二人も同じような状態だろう。人を陥れようとした罰だ。
ざまぁ!
という訳で、今日のお昼は私がカルロを独占している。たまにはこういうのもいいよね。婚約者なんだから。
私はちょっと大胆に迫ってみることにした。
「はい、カルロ。あ~ん♪」
「り、リタ!? きゅ、急にどうしたのさ!?」
「いいじゃない、たまには♪ 今日はお邪魔虫も居ないし♪ ほらほら、あ~ん♪」
『や、ヤバい! な、なんだこれ!? 普段のリタと違ってめっちゃ可愛い!』
カルロ、心の声がだだ漏れよん♪
「あ、あ~ん...モグモグ...」
「美味しい?」
「う、うん...」
「じゃあ私にもお返ししてね♪ あ~ん♪」
「まさかのあ~ん返し!?」
「ほらほら、早く~♪」
「あ、あ~ん...」
「ん♪ モグモグ...美味しい♪」
『もう堪りません! リタが可愛い過ぎる!』
良し良し♪ たまにはこんなバカップルになるのも悪くないよね♪
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