喫茶店レベル5で二階席が解放されます

『そんなのアリなの?』


 そんな言葉を残して、競合は去っていった。

 さあ、早速、二階席の確認へ!


 扉を開けてすぐに気づく変化。

 部屋右奥に、木製の階段が設置されていた。

 そして本来その場所に存在していた木製のベッド、及び木製パーティションが消えている。


 階段下までくると、その先が暗いことを理解できた。

 そこでランタンを用意して、2階へ進む。

 そこには何故か。

 1階に存在したはずの木製ベッド、及びパーティションが。

 その空間面積は、およそ、木製ベッド2台を置いて一杯。

 その程度。

 ここに置ける客席は、2人掛け席2つが限界だろう。

 階段の分面積が減ったので。

 実質的な面積増大分は、もっと少ない。


「レベルアップで2階席は広がるわ」


 さすがの天使様が、適切なコメントを入れてくれる。

 今はまだこのサイズ。

 しかし、ここからまだ成長の余地を残しているのであり。

 期待が高まるのである。

 そして天使は、俺の思考の溝を埋めにくる。


「何故、ベッドが動いたのか。

 それは、階段の場所に存在するアイテムを2階に送るように設計していたから。

 1階にベッドを戻せないのか。

 念じるだけで、店内に限り、家具を移動できる仕様なので大丈夫。

 当然、1階から2階へ送ることも可能」


「天使の設計、すげぇ」


「ちなみに。

 タドルだけでなく、私も喫茶店管理者権限を持っているので、私も移動を行える」


 天使がベッドに触れる。

 するとベッドが部屋の右端に瞬間移動した。

 次に木製パーティションに触れ、今度は部屋の真ん中に移動する。

 そして無言のまま。

 天使は1階に降りる。

 しばらくすると、2階に、もう1つの木製ベッドが転送された。

 このベッドは今ヒヨリちゃんが使っているもので。

 最初に2階に移動したベッドはミエルさんが使っている。

 俺は3人掛けの狼ソファーに寝ている状態であった。

 

 つまり、女性2人のベッドが2階に移動されたということであって。


「今から、2階は、私とヒヨリの部屋とするわ。

 文句は言わせないので」


「構いませんよ。

 どうせ、さばける客の量からして、今の店の面積が限界です」


「コンロが増えるのに?」


「そうだった!」


 ミエルさんの言葉で思い出す。

 移動可能コンロ。

 しかし、先ほど1階を見たときは、コンロは存在していなかった。

 そして当然、今の2階席にも。


「コンロの場所を決定してからじゃないと、設置はされないわ。

 ちょうど1階のベッドがなくなったから、そこに配置すればいいんじゃない」


「なるほど」


 今度は全員で1階に降りる。

 確かに、入口から見て左奥のヒヨリちゃん用の木製ベッドがなくなっている。

 ベッド下に置いておいた植木鉢や食器やらを適当に移動させると。

 俺は、コンロの場所を、脳内で思い描いた。


「コンロー、出てこい!」


 その瞬間。

 システムキッチンが無から生まれる。

 コンロとシンクとカッティングスペースのみが存在する。

 現在、シェルター内に存在するのとほぼ同じキッチンが。


 つまり、これにより可能となることは・・・。


「俺とヒヨリちゃん。

 同時に調理可能になりました!!」






*****






 次の日。

 まずは在庫不足であることが判明した酒類を買い足した上。

 シーズン10、2日目の営業、開始です!






*****






 5日間の営業が終了しました。

 それでは。

 第10シーズン、残り、4日間の売上を報告いたします:


※DS:ドリンクセット


47日目

(昼)

 ・コーヒー単品 x6 = 300x6 = 1,800G

 ・無糖カフェオレ単品 x4 = 300x4 = 1,200G

 ・有糖カフェオレ単品 x3 = 350x3 = 1,050G

  →[ドリンク単品] 4,050G


 ・唐揚げ定食 x4 = 600x4 = 2,400G

 ・チキン南蛮定食(DS) x2 = 850x2 = 1,700G

 ・おろしバーグ定食 x2 = 850x2 = 1,700G

  →[ライスメニュー] 5,800G


 ・バターサンド(DS) x3 = 400x3 = 1,200G

 ・ホイップサンド(DS) x1 = 600x1 = 600G

 ・いちごサンド(DS) x1 = 700x1 = 700G

 ・ミックスサンド(DS) x3 = 600x3 = 1,800G

 ・ピザサンド(DS) x4 = 700x4 = 2,800G

 ・BLTサンド(DS) x2 = 750x2 = 1,500G

 ・エビカツサンド(DS) x1 = 800x1 = 800G

  →[パンメニュー] 9,400G


 →計:19,250G [注文数36]



(夜)

 ・コーヒー x3 = 300x3 = 900G

 ・ビール x18 = 500x18 = 9,000G

 ・米焼酎 x3 = 500x3 = 1,500G

 ・ウィスキー x2 = 500x2 = 1,000G

 ・赤ワイン x1 = 500x1 = 500G

  →[ドリンク] 12,900G


 ・枝豆 x4 = 300x4 = 1,200G

 ・生野菜サラダ x1 = 400x1 = 400G

 ・ポテトサラダ x3 = 500x3 = 1,500G

 ・ハムチーズ盛 x1 = 400x1 = 400G

 ・トマトチーズ盛 x1 = 400x1 = 400G

 ・フライドポテト x5 = 500x5 = 2,500G

 ・唐揚げ x6 = 500x6 = 3,000G

 ・チキン南蛮 x2 = 650x2 = 1,300G

 ・ミックスサンドx3 = 500x3 = 1,500G

 ・ピザサンドx4 = 600x4 = 2,400G

 ・BLTサンドx1 = 650x1 = 650G

 ・エビカツサンドx2 = 700x2 = 1,400G

  →[フードメニュー] 16,000G


 →計:28,900G [注文数59]



<合計売上>

 昼:19,250G [注文数36]

 夜:28,900G [注文数59]

  → 計:48,150G [注文数95]



46日目:84,050G [注文数157]

47日目:48,150G [注文数95]


 10シーズン、2日目。

 売上が、1日目より下がりました。

 いや、本来は十分な売上なのです。

 ただ、敵が強すぎるだけ。


 1日目は知人の力を借りた、ということも。

 2日目は競合に客を取られている、ということも。

 もうわかっています。


 しかし、できることはやりました。

 あとは、天使に、祈るだけです。


 そして・・・


 残り、3日間の結果です:

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