ジャンボブロイラーは遭遇率の低いモンスターです

「ジャンボブロイラー禁止ね」


 帰宅早々。

 ミエルさんは、突飛とっぴなことを言い出しました。

 でも、俺はすぐに、その意味を理解しました。


「ジャンボブロイラーは、『甘えである』、と、いうことですか?」


「それもあるけど・・・。

 あなた、運が良かったのよ。

 ジャンボブロイラーは、遭遇率が非常に低いモンスターなの。

 巨大でありながら、被食者の立場に立たされることが多いからね。

 特に、ドラゴンはジャンボブロイラーを好んで食すことで有名だわ」


「そのことは、身を持って体験済みです」


「なので、ジャンボブロイラーを数匹狩ろうとすると、本来、数日かかるのよ。

 あと、この大陸には、ジャンボブロイラーは生息していないわ。

 なので、転移でアトラシアに戻る必要がある。

 それも、面倒なワケ」


「『あと、そろそろ鶏以外の肉も食べたいし、私が』。

 そんな怨念が、伝わってくるようです」


「天使は怨念なんてはっさないわ。

 そういうの、天啓オラクルって言うのよ。

 わかったら、その手提げに入った肉で。

 新しい料理を、さっさと開発しなさい!」






*****






 ミエル陛下による『ジャンボブロイラー禁止令』が発令されたのち。

 俺は、キッチンへもぐる。

 今回の試作には、時間がかかると予測している。

 その理由は、『作りたい料理が、あり過ぎるから』、なのでした。


「はい。

 まず、『豚の生姜焼き』、作ります」


 ここに来て、王道中の王道。

 『西の唐揚げ、東の生姜焼き』。

 とか、前世で誰かが言っていた、気がする。

 特に、根拠はないと思います。


 今回は作る料理の数が多いので、ダイジェスト放送となります。


・豚モモブロックを細く切ります

・これに小麦粉をまぶして、こんがりキツネ色になるまで焼きます

・ここに調味料を加えて

・調味料=醤油+生姜+みりん+料理酒

・さらに、キャベツの千切り、肉を乗せ

・その上に大量のマヨネーズをかけて完成!


 間違いないヤツ!

 ではありますが・・・。

 『調味料のみ込みを行うべきか』、とか。

 『調味料は、これで良いのか』、とか。

 唐揚げもそうですが。

 こだわりだすと、一生悩み続ける。

 そんな奥深さがあるように思います。


 個人的には、『肉』、よりも。

 『生姜醤油とマヨネーズが合わさった味』、を楽しんでもらいたい。

 そんな気持ちもあります。






*****





「次、ハンバーグ、作ります」


 今回は、研究も兼ねて、2種のハンバーグを作ります。

 1つ目は、豚ひき肉のみ。

 2つ目は、牛豚合挽きのハンバーグです。


・豚モモ肉、豚バラ肉、牛肉(部位不明)を細かく刻みます

・たまねぎ、みじん切りにして、炒めておく

・タネ1=豚モモ肉+豚バラ肉+たまねぎ+パン粉+卵+塩+胡椒

・タネ2=タネ1+『牛肉』

・タネ1、タネ2をテノヒラサイズの楕円形の塊にして

・こんがり、焼いて

・ソースを掛けて、完成

・ソース=ケチャップ+ウスターソース


 が、しかし。

 ここで問題が発生しています。

 では問題です、その問題とは、一体、なんでしょうか?

 ただし、パン粉はガンダルで購入して所持しています。






*****






 ここから皆さまがシンキングタイムに入りますので、皆さまは牛と豚の肉の部位解説図をお楽しみください






*****






「ウスターソースが、ないんだよなぁ・・・」


 正解は、『ウスターソースがない』、でした。

 『ウスター』って何?

 ウスターさんなの?

 薄田うすたさんなの?


 同時に、もう1つわからないことがある。


「デミグラスソースの、意味がわかんないんだよなぁ・・・」


 『デミグラス』って何?

 薄田うすたさんとは、どういう関係なの?

 従兄弟いとこなの?


 そこまで考え、俺は方針を転換した:


・ポークパンバーグは、テリヤキ味にする

・合挽きハンバークは、おろしポン酢味にする


 ソース1=醤油+みりん+料理酒+砂糖

 ポークパンバーグにソース1をかけてから、さらに焼いて。

 最後にマヨネーズをかけて、完成。

 『テリヤキポークパンバーグ!』


 ソース2=大根おろし+ポン酢

 合挽きハンバーグに大葉を乗せて、ソース2をかけて完成!

 『合挽き和風おろしハンバーグ!』

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