天使には、転生者の気配を感知する能力があります
「あなた、アト、つけられているわよ」
「誰に?」
「さあ?
誰でしょう?
あとは、一人で、なんとかしてみなさい」
喫茶店に帰還して、早々。
ミエルさんから警告を受ける。
全く気づかなかったぞ。
とりあえず、急いで、喫茶店扉の鍵を閉め・・・。
ようとしたときには、すでに時遅し。
何者かの侵入を許していたのである。
「こんばんわ、競合さん」
長い茶色のポニーテールが揺れると同時に。
その存在を理解した。
「
ピョコピョコ時間計測!」
「何の話ですか?」
「ナイフの人!」
「失礼ですね」
「だって、名前知らんし」
「ウェイトレスさんで、いいでしょ」
俺は、ここで気づく。
この『転生者』と思われる来訪者に対して。
ミエルさんは、どんな反応をするのだろうか。
予想としては、転生時に顔を合わせているはず。
もしかすると、彼女の転生特典について、何か『
が、そこに、天使はいなかった。
「飛んだかー」
「何の話ですか?」
「内輪の話です。
気にしないで」
「それ、一番、気になるヤツです」
そこから、ウェイトレスさんは。
喫茶店内をぐるりと1周。
俺は、その様子を、黙って見つめる。
いつ。
どこから。
ナイフが飛んでくるかわからん。
そして、入口まで戻ると、彼女は感想を述べた。
「広い!
ズルい!
なるほど!
これが、転生特典なのね」
「そうですよー。
喫茶店が、俺の転生特典です」
もう、完全にバレているので、隠し立てしてもしかたないのでした。
そして、彼女の推理は、さらに続くのです。
「そこの、コンテナ!
冷蔵庫と見たわ!
あなたみたいな、ボンヤリな人が、食品の管理ができるとは思わないから。
冷蔵施設があってもおかしくはない」
「ボンヤリは余計ですが、正解です」
「そして、最後。
あなたが腰に帯刀している、刀、なのか何なのかわからない微妙な武器。
それが、3つ目の転生特典。
つまり、あなたは『銅メダル』だった、ということね」
「素晴らしい、推理です。
これで、事件は解決ですね。
やったね☆。
じゃあ、お引き取りください」
と言って、帰ってくれるような人間でないことは、感覚的に理解していた。
ナイフさん(仮)は、ドラゴンルーラーソファーに、ドッカリと座り。
その座りごごちを確かめた。
「正直、あなたのこと、舐めていたわ。
こんな家具まで、作成していたなんて・・・」
ヒトリゴチル、彼女。
圧倒的に、説明が足りない。
「今度は、こっちが『探偵』、やってもいいですか?」
「りょ!」
「なんか、『ハミルトンとパレルの間に、変な喫茶店ができたらしいぜ』。
そんな噂を聞きつけた、Aさん。
そういえば、最近、転生者の男をからかったな。
あいつ、コーヒーミル、持ってたな。
たぶん、アイツが喫茶店、やってんだな。
よし!
いっちょ、ヒヤカシに、行ってやろうかな!
面白そうだし!
と、Aさんは、思いつき。
たまたま、ハミルトンを何度も出たり入ったりしている不審な男を見つけて。
あとを、つけてみたら。
喫茶店があった。
という流れで、OK?」
「寸分たりとも狂いがないわ。
やるわね、あなた。
私の名前は、『アリサ』。
Aという、頭文字まで合っていたわよ」
「こんなタイミングで名乗るんですね」
「ちょっと話、
今日は、何で、ハミルトンを往復していたの?」
「ワニを、売ってました」
「そのボケ、面白い!
10ポイント!」
「やったぜ!」
「そんなことは、どうでもいいのよ!」
「話振ったの、そっち、ですぜ」
「このソファー。
明らかに、『オーバーテクノロジー』よ!
どうやったの。
てか、このレザー、何?」
「ドラゴンルーラーレザーソファーです」
「長い」
「ドラゴンで作ったソファーです」
「あなた、異世界まで来て、何やってんの?」
「いや・・・。
喫茶店、まじめに、やってますけど」
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