打倒競合

武具に属性魔力を纏わせる魔法を『魔法剣』と呼びます

 以下が、今回の買い物リストです:


・コッペパン

・レタス

・キャベツ

・卵

・バター


 6日前に、同様の買い物を行いましたが、天使に振る舞うぶん消費が増えたこと、また慰労会で奮発したことなどから、食材の再購入が必要になったのでした。

 まあ、どちらにしても、『鮮度の問題』もあったので、再購入は必須でした。

 しかし、今、これらを購入できるお金がありません。

 そこで、俺は、再度、武具店を訪れることにしたのです。






*****






 筋肉モリモリマッチョウーマンなライザさん。

 彼女が待つカウンターへ、脇見をせずに、一直線。

 この俺の様子から、彼女も、今回の目的が『売却』であることを理解したのだった。


「客人、今日はどんなトンデモ素材を見せてくれるんだい」


 俺は、手提げ袋に格納してあった素材を、カウンターに乗せる。


「ドラゴンルーラーの爪、6本あります」


 ・・・


 若干、時が止まったのち。


「すまんな。

 ちょっと、信じられない」


「俺は、ライザさんの鑑定眼を信じています」


 ここから、鑑定人ライザによる、お宝鑑定会が始まるのでした。






*****






 ここから鑑定作業に入りますので、皆さまは巨大な猫の映像をお楽しみください






*****






 鑑定や、如何いかに。


「ホンモノだ。

 たぶん、ホンモノだ。

 正直、自信ないが、たぶん、ホンモノだ」


「ホンモノです。

 確実に、ホンモノです」


「お前、何者だよ」


「これは、知人がハントしたものです。

 俺は、それを譲り受けました」


「角は?

 角は?

 角は!?」


「角は、その知人のモノです。

 そういう契約でした」


「なるほど、逆に、なんか、納得。

 あんた、いい知人と知り合ったな」


「ライザさんと知り合えたのも、俺、ラッキーだと思ってますよ」


「そうだな。

 おごりになるような表現だが。

 この爪を鑑定できる人間は、世界でもあまり存在しない。

 ここで、数点のポイントを伝えさせてくれ」


 以下、ライザさんの見解です:


・ドラゴンルーラーの存在を知っている人間自体が少ない

・ドラゴンルーラーの素材は、市場には、ほぼ出回らないので、みな知識が少ない

・ドラゴン族の角は、それぞれの種で特徴があるので、簡単に見分けられる

・しかし、爪は、類似していて、種の判断が難しい

・当然、ルーラーの爪は値段だけではなく、その性能も一級品

・そして角は、さらに貴重な素材である


「はっきり言うぞ!

 私にも、いくらの値を付けて良いか。

 全くわからん。

 そして、何より」


「何より・・・」


「需要があるかが、わからんのだ。

 これを使って作った武器を、そんな高級品を。

 こんな中規模の商業都市で。

 購入する、そんな人間がいるのかは、わからん」


「突然ですが。

 『ダルト』という名前に、聞き覚えはありませんか?」


「黒い鎧の男だな。

 知り合いだ。

 たしかに、アイツなら、可能性はあるな」


 やはり、能力ある人間同士は引き合わされるものなのだな、とか思いました。


「結論だが。

 まず、1本だけ、売ってくれないか?」


「なるほど。

 ちなみにノーマルのドラゴンのときは1本2,500Gでしたね。

 で、6本で15,000G」


「1本、8,000Gでどうだ。

 残りの5本の値段は、今後の展開によって上下する。

 この1本を使って、まず、武器を作ってみる。

 これが売れれば、次、もっと高値で買う」


「実を言うと、今金欠なので。

 こっちには、あまり交渉の余地がなかったりするんですよねー。

 8,000Gでお願いします」


「あらら。

 もう少し、しぼってもよかったのかね。

 まあまあ、交渉成立だ。

 こんな貴重なモノ、手に取らせてもらって、感謝する」


「こちらこそ」


「あと、ここからはただの世間話だ。

 『レッドドラゴン』の素材は、その『格』以上の価値がある。

 それは、敵側でも、味方側でも、『炎が弱点』であるモノが多いからだ。

 ドラゴンレザーは強い『耐火性』を持ち。

 ドラゴンクローは『火の魔法剣』と、相性抜群だ」


「『魔法剣』?」


「魔法剣とは、つまり、剣に炎をまとわせる魔法、ってやつだな。

 一方で、『魔法剣技』ってのは、炎の攻撃と剣の攻撃を織り交ぜる。

 魔導闘士、魔法剣士の得意な戦法さ。

 あんたが、『魔王』でも倒したいっていうなら、必須の技術になるな」

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