1発の魔法は基本的に、短時間しか継続して発動できません
ご丁寧に、村長さんは『焚き火』の準備をしてくれていた。
その理由は、今、固化してしまっている塗料を、温めて液化するためである。
理想を言えば、『俺、火の魔法使えるから、焚き火、いらないですよ、キリッ』、などと発言してみたかった。
が、現状の俺のフランは、火力が安定しないうえ、長期的に加熱し続ける、長期的に火力を発し続けるという、『継続的魔法発動』ができない状態であったため、焚き火の力を借りるしかない状態だったのである。
ただ、点火だけは俺のフランで行ったので、多少の驚きのリアクションを各位から頂戴することには成功した。
さて。
気をつけるべきはここからだ。
「『引火』が、怖いんです」
念のため、魔法防御力が高く、『耐火特性』持ちの俺だけが最前線に残り、村長さんとケントさんには一歩引いてもらった。
まあ、爆発することはないだろうが、『大炎上』、みたいなことはありえるかもしれない。
細心の注意を払い。
焚き火の炎から、近すぎず、遠すぎずの距離を保って、ゆっくりとバケツを温める。
が、持ち手の存在しないバケツだったので、すぐに俺の手が熱くなってきた。
耐火性能があっても、熱いものは熱いのだな、と思いました。
そして、そのあと、『鉄板敷けばよくない?』という考えが浮かび。
結果的には、喫茶店からフライパンを持ってきて、その上にバケツを置く、という作戦に落ち着いたのでした。
「溶けてきました!」
俺は、ふと、小学生の頃の理科の実験を思い出します。
アルコールランプ、ビーカー、試験管、プレパラート、エトセトラ。
でも何故か、『マグネシウムリボン』の記憶だけ、なぜかその1点だけを思い出したのでした。
あれで、『金属も燃えるんだなぁ』ということを、子供ながらに感じ取ったのでした。
脱線、終わり。
そして本線に戻った俺、および村民は、大切なことを思い出したのだった。
「ブラシがない!」
*****
どこを探しても、『筆』や『ハケ』は、村内にはありませんでした。
ましてや、『ペイント用ローラー』なんて、存在する訳もなく。
最も類似したアイテムが『ホウキ』でしたが、ホコリがいっぱい付いていたので遠慮。
そして、結論として選んだのは『布』でした。
ただの
今回はこれで、なんとかしようと思います。
火傷に気をつけながら、ゆっくり、アツアツの樹液にボロ切れを
そして、即、木材に塗る。
乾燥、固化する前に、即。
布と木材が、樹脂を接着剤としてくっついたら、そこそこ面倒なのでした。
すごく地味な作業です。
しかし、ナチュラルカラーの木材が黒く変色していく様は。
俺のみならず、残り2人の村民にも、何か感じるものがあった。
そのように思います。
それは、小学校の頃に、『塗り絵』をしていたときの。
あの感覚に似ている、のかもしれません。
*****
ここから単調な作業に入りますので、皆さまはをマグネシウムリボンが燃える様をご覧ください
*****
全木材の塗装が完了する頃には、日が沈みかけていました。
木材に触ると、まだ、若干のベトベト感が残っています。
この触感を3人で共有した結果、『明日の昼まで、乾燥を行う』という結論を導きました。
『フランの魔法を使ったら、乾燥早くなるかも』とも考えましたが、ふと浮かんだ『引火』というワードが、その考えを抹消してしまいました。
レザーソファーの姉貴の魅力に当てられて、興奮状態にあったのだと。
自分を一旦、
俺、村長さん、ケントさん、モリタさん、双子ちゃん、双子マザー。
7人で夕礼。
そののち、喫茶店へと戻るのでした。
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