防具、アクセサリには属性耐性を持つものもあります

 ケトルを購入した俺は、残りの食材の買い物を続けた。

 その間、『炎と鉄の国』という言葉が、何回も脳内にいてきたのである。

 その根底には、『鉄を使った家具が欲しい』という願望が存在していた。

 現在の木製家具も、ナチュラル、柔らかい印象で、これはこれでアリ、なのだが。

 無骨な鉄骨とレザーを組み合わせた、そういう方向のオシャレ家具を目指したい気持ちがある。

 ただ、その前に。

 塗料を購入して、今ある家具をもう少し黒目、例えばダークブラウンに着色したり。

 そんな妄想を楽しみながら。

 買い物は完了。

 パンパンの手提てさげ袋を雑にかるい、黒のケトルを大事に抱えて帰宅。

 『ただ今帰りました』の挨拶のち、数分置いて、『また行ってきます』と言って喫茶店を再出発した。






*****






 俺は再びハミルトンの街にやってきた。

 目的は2つ。

 その1つ目は、『新メニューの検討』である。

 人通りが最も多いバザー。

 ここで気になる食材を探していく。


 最初に関心領域に入ってきたのは『豚』と『牛』だった。

 『薄切り』『小間切れ』といった売り方はなく、全てがブロック。

 そして、なによりも・・・、


「高い・・・」


 豚が100グラム単位で400G〜。

 そして、牛は100グラム単位で800G〜。

 ちなみに、鶏は100グラム単位で150G〜、比較的安価。

 牛は正直覚悟していたが、豚も相当な高級品であることが判明した。


「ハンバーグ・・・。

 遠のいた・・・」


 その他、羊やウサギの肉も売られていたが、こちらは調理スキル的な問題が効いてきそうなので棄却した。

 そんな途方に暮れかける俺に、救世主が舞い降りた。

 それは。

 『ハム』だった。


「塩の力だ・・・」


 同じ豚でも、ハムは100グラム単位で150G〜。

 鶏肉と同レベル、そして生色の豚の半額以下の価格である。

 塩の力で細菌などの繁殖を抑えられる分、『消費期限』が伸びる。

 これが、とてつもなく大きいのだろう。


「生肉は、今日中に売り切らないといけない。

 一方のハムなら、相対的に長く持つ」


 食品加工の力って、すごいな、と思いました。

 ハム、ありがとう。

 そして俺は、ハムを500g、値切った上で購入したのでした。






*****






 1つ目の目的である『新メニューの検討』に粗方目処めどが立った俺。

 2つ目の目的を達成するために、やってきた。

 そこは、『魔法防具店』。 


「注文の品、できてるよ」


 店主のユナスさんは、俺の顔を見るや、すぐに奥に引っ込み。

 すぐに帰ってきた。

 『注文の品』とは、そう。

 『ドラゴンレザーエプロン』である。

 ユナスさんはドヤ顔で、エプロンを俺に見せびらかす。

 どうやら、自信作のようだ。

 緑色のドラゴンの革鱗かくりんの色、そのままの緑色のエプロン。

 代金の30,000Gと交換し。

 手渡されるとズッシリと重く。

 しかし、やはり、命には変代えられないわけで。


「装備!」


 ボロボロの青いエプロンを卒業し、重厚感のある緑のエプロンに衣装チェンジ。

 そして、


「装備確認スキル、実行!

 アンド、ステータス確認スキル、実行!」


・武器:吸魔の包丁 Lv1(FAT 120、MAT 30)

・防具:ドラゴンレザーエプロン Lv1 (FDF 80、MDF 140、炎耐性)

・補助:なし


・Lv:26

・HP:200/200

・MP:105/105

・FAT:116(+120)

・MAT:114 (+30)

・FDF:120 (+80)

・MDF:116 (+140)


「魔法防御、すげぇ!」


「しかも、炎耐性持ちだから、雑魚のフランくらいならほぼ無効化できる。

 まあ、物理防御力は、鉄鋼の鎧には負けるけど。

 魔法防御力も両立している防具としては、破格の性能さ」


「ありがとうございます、ユナスさん」


 これで、武器も防具も整った。

 ミエルさんの言う『レベル上げ』の準備が整った、とも言う。


「こんな防具まで作って。

 あんた、いったい、何を目指す気なんだい」


「はい!

 世界一の喫茶店、目指します!」

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