悦び
湖の畔にあるホテルからの帰り道に立ち寄った店での話によると、はくは今年60歳を迎えたことがわかった。とても還暦を迎えた女性とは思えないほど若く見えた。それは外見だけでなく張りと艶のある声にも認められたし、何よりも身体もしなやかでその仕草や姿態にも瑞々しさがみられるのだ。
家族は4人で、5歳年上の夫とふたりのこどもと暮らしていることもわかった。こどもが待っている、というので早々と店を出て家の近くまで送った。
帰宅して早速ラインに入力する。
「ただいま帰り着きました」
「おかえりなさい、今日はありがとう」
「楽しかったね」
「熱い熱いまささんの熱さが身体に残っています」
「大丈夫?」
「ただ長い間使わなかったから錆びついていないか心配したけど」
「可愛い喘ぎ声が耳に残っています」
「も~」
「充分潤っていました」
「まささんが上手だから 5年分出たのかな」
「彼と別れたあとは旦那とはしなかったの?」
「旦那とは10年以上もないよ」
「あんなに乱れて・・おどろいたよ」
「私は幸せ、熱い、まささんは若い!元気ね」
「そうかなぁ」
「素敵だった、抱かれて幸せ 女になれた」
「ぼくも嬉しいよ」
「身体が喜んでいたよ 愛してね あなたのものになる」
翌日の朝、ラインの画面を見るとはくからメールが入っていた。
「よく寝ました まささんのパワーには負ける かなり激しい」
「はくちゃんの方が凄いよ 腰遣いが」
「又~うそうそ」
「イッたよね 痙攣が伝わってきたよ」
「あれって痙攣? 知らないうちに?」
「そうだよ」
「身体が震えて、え?何してた?」
「身体が震えていたよ ピクピクッて」
「うそ、イッた?わからない」
「気持ち良かったんやろ?」
「5年分やから あんなの初めて」
「あんな風になるんや」
「何でもしってるくせに 真っ暗にしないと」
「暗いのがいいの?」
「あらを隠したかったのに」
「すぐうつ伏せになるやんか」
「顔を見られたら恥ずかしいから」
「可愛いのに、隠さなくても」
「うそばっかり」
「あんなの、初めて」
「慣れてた なかなか強引やったけどな」
「強引やったって?」
「まささんがするなんてびっくりしたわ 興味ないと思ってた」
「そんなことないよ」
「ふりんふりんになっちゃったね」
「そのうち飽きられるわ」
「私の方こそ飽きるんちがう?」
「恋しくてたまらない」
「ほんと?嬉しい なんでこんなに幸せなん 苦しかったのが嘘みたい」
「セックスも最高だし はくちゃんは、ずーっと一緒に居たい人」
「ほんとに?おんなは誰もおなじやろ?」
「ずーっと傍に居たい はくちゃんに触れていたい」
「いいよ まささんに触れられたい 愛してる」
「ぼくも愛してるよ」
「まささんは堅ぐるしい」
「じゃあ、下の名前で呼び合おうか」
・・・
「私の中では、まさはしない人」
「そうだったの?」
「温泉にと言われた時はビックリしたけど、大丈夫だと」
「ほんとうに温泉だけだと思っていたよ」
「温泉はいれば、危ないかもしれないから、部屋に戻らなければいいなと」
「そうだったのか」
「でも遅かった、後ろからと抱き締められて」
「だって、湖が見えてあの場面で・・」
「経験したことない、感覚」
「そうだった?」
「崩れてゆく」
「驚いたよ」
「まさに強く力づよく抱き締められて女になりたいと身体が」
「そう・・」
「火照って潤む、身体にまかせた」
「すごく濡れていたよ 柔らかくて、熱かった」
「女の悦びを一度知ると離れられない」
「若い恋人を持つと大変」
「なりたいよ、貴方のものに」
「はくのお尻、可愛いね」
「またー 止めて 暗くして うそ?見えたん」
「うっすらとね」
「バカバカ」
「今度は真っ暗にするから」
「うん」
「気持ちいいよ、はくとのセックス」
「ほんと?もうすることないと思ってたわ」
「相性も良かったし」
「相性があるのね 私は合ってたの?」
「うん、とてもいいよ」
「まさは淡々と書いてるけど私はポッポ熱いよ また抱かれたいと」
それからの日々は仕事の話や、お互いの家族についての話、セックスの話もたくさんした。そして週末、ぼくたちはまた会うことになった。
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