ベッド
汽船乗り場は涼を求める人達で混雑していた。まだ星の見えない七夕と湖の周遊・・ぼくたちは船上で初夏の風に吹かれ、取り留めのない話をした。下船後、温泉好きのはくのために湖畔に建つホテルの階上にある温泉を利用しようとデイユースを申し込んだ。運よく部屋が空いていたので先に昼食を済ませることにした。ランチの寿司をつまみながら、はくだけにビールを頼んだ。
階層の高い部屋からの眺めは素晴らしい。カーテンが開け放たれている窓からは、先ほど周遊した湖面が白く眩しく輝いて見える。ぼく達は息を詰めながら夏の陽の欠片を眺めていた。
「きれいね・・」
ぼくはその声をはくの後ろで聞いた。強い日差しが部屋の中に入ってきて、いま立っている場所がまるで宙に浮いているかのような感覚に戸惑う。部屋は静けさに支配されている。ぼくは思い切ってカーテンを手繰り寄せ、景色を細くした。はくは何かを感じたのか、俯いている。両肩に手を添え顔を上げるよう促しても目を合わせようとしない。ぼくはたゆたいながらはくの後からそっと腰に腕を回し、うなじに軽く唇を這わせた。はくがからだを預けてくる。からだの向きを変え、口づけをした。ためらわず何度も何度もふたりの形を確かめるように唇を吸いあった。そのままベッドに腰を落とし、はくの喘ぎ声を耳にブラウスの上から乳房を揉みしだく。思い掛けない量感に下腹部や喉元に沸き立つものを感じる。耳もとではくの清かな声を聴きながらジーパンの隙間から手を入れ、その先にあるサラサラとした茂みをまさぐるとそこはもう十分に潤っていて、ぼくの指先はしっとりと濡れそぼった。
初めてのデートのあと次はキスくらいは、とラインでのやり取りでぼくたちは覚悟していた。そんなことが頭を過ったのだけれど、押し寄せてくる激情には逆らえない。しっかりとまとわりついているジーパンのホックを外すのに手間取っていると、はくはもどかしいとばかりに自分で脱いだ。ショーツに手をかけると腰を上げる。広げた脚の奥に霞んでいる茂みに顔を近づけると「汚いから・・」と拒むはくの両手を払い、秘所に舌を入れる。つぼめて差し入れた舌先に一瞬しびれるような感覚があり、そのあとはねっとりとしたほのかな甘味と匂いに、ぼくは夢中で舌と唇を使いはくを昂まりへ誘う。「・・・暗くして」と耳元で懇願する細々とした声を聞きながら、はくの中にペニスを入れた。ひときわ大きな声が耳元から背中へ抜ける。やがてその声はぼくの律動に合わせて迎え動く腰と共に、小刻みな喘ぎ声に変っていった。
どれほど時間が経ったのか・・・遠いところで微かな、それでいて伸びやかな声がした。はくはなにかを確かめるように瞼を閉じ、時折息を大きく吸い込み薄く口を開けゆっくりと吐き出している。ぼくは上体を起こし抽送に力を込めた。ひときわ甲高い声と同時に背なかに痛みが走り、はくが跳ねた。
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