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すると集団の中から厳しい反応が返ってきました。
「ふざけんな!」
「オレたちの王様はこの国の先代の王様に殺されたんだ、残虐な方法でな!」
3人はその発言にびっくり。
「うう・・・」
3人は瞬間的にわかりました。この男はウルズ王国かスクルド王国出身者だと。
さらに別の男性が抗議の声をあげました。
「考えてみろよ。今の女王は何もできないじゃないか! 前の王様みたいに地震魔法を使えれば、こんなことにならずに済んだんだ!」
ちなみに、この男性は先ほどノルン王国軍兵士に荷車を道端の水路に落とされた男性です。男性の妻と子どもたちの姿もあります。
今回グラニ帝国は空に浮く要塞で攻めてきました。地震魔法でどうこうできる相手ではないのです。ひどい言いようです。
デモ隊に言い寄られて3人の男性は焦るばかり。
「ちっ・・・」
3人はくるっと振り返り、
「みんな、呑み直そうぜ!」
「おーっ!」
3人は屋台の方に歩き始めました。ブリュンはそれを冷ややかな眼で見て、
「ふん、使えないやつ・・・」
3人の男性は歩きながら会話してます。
「なんであんなやつらが正々堂々街の中でデモをしてるんだ? どう考えたって不敬罪で即刻逮捕だろ!」
「いや~ でもなあ・・・」
その男性は遠くに浮かぶ空中要塞を見て、
「今軍人も警官も全部あの下にいるんじゃないか?」
「今この街は無政府状態なのかよ・・・」
ブリュンと同じようなみすぼらしい身なりの男がブリュンに近づき、耳打ちしました。実は彼はグラニ帝国の間者の1人。
「ブリュン様、貧民街を当たりましたが、誰もついてきませんでした」
「ええ? 王室に反感を持ってる人が1人もいないの、貧民街に? まったくどうなってんの、この国?
この国に不満を持ってる人は、ウルズ王国出身者とスクルド王国出身者だけか・・・」
ブリュンは間者に、
「ともかく、できるだけ不満分子を集めてきて!」
「了解!」
間者は駆け出しました。ブリュンは遠くにある宮殿を見ました。
「この国の民はみんなあの女王様を愛してるっていうこと?・・・」
ブリュンはグラニ帝国第2皇子ナルヴィの顔を思い出し、
「あのバカ皇子とは正反対ね、まったく・・・」
西日が差し込む部屋。ここは宮殿の姫がいる部屋。姫がふと窓の外の空中要塞を見ました。そして窓に数歩近づきます。先ほどは悪態を晒してた姫ですが、飛行魔法を封じられたせいか、心境に変化があったようです。
今朝初めてあの空中要塞を見たときは、箒に跨り、空中要塞に突入し、中にいるナルヴィと刺し違えるつもりでしたが、今はノルン王国の女王として、できる限り生き延びる道を模索してました。
今ノルン王国の王室ファミリーは自分だけ。自分が死んでしまうとノルン王国は滅んでしまう。そうなったらノルン王国の国民は・・・
ま、それでもナルヴィに対する憎しみは、これっぽっちも薄まってませんが。
ここはその部屋のドアの外、廊下。1人の少女が申し訳なさそうに話してます。少女は低身長。丸いメガネ。そばかす。背中には巨大な風呂敷があります。一見すると田舎の小学校高学年ですが、メイド服を着てるところを見ると侍女のようです。
「すまないだ。先に逃げさせてもらいますだ」
低身長の侍女はそう言うと振り返り、廊下の奥へ。そこには10人ほどの侍従・侍女がいました。全員大きな荷物をもってます。
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