37
準一は得意げな顔をして、眼の前にいる姫に話しかけました。
「どう?」
けど、姫は不満そう。
「う~ん、もっと効率よく攻撃できないかなあ・・・」
姫の脳裏に大火の記憶が蘇りました。それは4年前、ノルン王国首都イザヴェルで発生した大火。イザヴェル市街のあちらこちらで火災旋風が発生してます。姫はそれを宮殿から見下ろしてました。
現在の姫。
「ねぇ、準一。旋風に火を混ぜることはできない?」
「え?・・・ 火災旋風のこと? ふふ、やってみよっか!」
2人が乗った箒がUターン。今度は船首から近づきます。準一が剣を大きく振りました。
「出でよ、火災旋風! いやーっ!」
すると甲板上を炎が走りました。次々と火だるまになる甲板上の兵たち。さらに帆にも火が付き、軍艦は火に包まれました。地団太を踏む
「くっそーっ!」
準一は燃えあがる軍艦を見て、
「あは、こりゃすごい!」
準一は
「こいつ、こんなこともできるんだ」
と、感激してます。姫は横目で準一を見て、
「ふふ、今度は私の番かな?」
2人を乗せた箒が空高く舞い上がります。準一は不思議に思いました。
「ん、何を?」
「海に潜る!」
「ええ?・・・」
2人を乗せた箒がものすごい勢いで急降下を始めました。姫が叫びます。
「準一、息を止めてっ!」
「そ、そんなこと言われても・・・」
2人を乗せた箒が軍艦の甲板のど真ん中に垂直に突っ込んでいきます。慌てる準一。
「うわーっ!」
箒が甲板に激突。の直前、甲板に丸い穴が空き、2人はその中へ。けど、スピードはまったくゆるみません。次の階の床板にも丸い穴を空け、次の階の床板にも丸い穴を空け、次の階の床板にも・・・ 準一は恐怖に顔がひきつります。
「うわーっ!」
そして最後の床板を突き破った次の瞬間、水の中へ。そう、海中に入ったのです。
「ごはっ!・・・」
準一は海水を飲んでしまったよう。かなり息苦しいようです。姫は箒の先を上に向けました。
海面。海中から2人が乗った箒が勢いよく飛び出して来ました。そのまま上空へ。準一はゴホッゴホッとかなり息苦しそう。姫は横目でそれを見て、
「もう、準一たら、息を止めてって言ったじゃん。あ、泳げなかったのかな?」
「お、泳げるよ! いきなり海に潜るから・・・」
箒は空中停止。準一は今穴を開けた軍艦を見ました。軍艦はつんのめるように沈没し始めてます。乗員は次々海に飛び込んでます。その中には
「くっそー、覚えてやがれ、このクソガキーっ!」
姫はそれを見て、
「あーあ、この海域は人喰い鮫の棲息地なのに・・・」
それを聞いて準一の表情から血が引きました。
「ええ、たった今潜った海が鮫の棲息地?・・・」
準一の視野にふと2隻の軍艦が飛び込んできました。準一は姫に、
「姫、あと2隻ですよ。頑張ってやっつけちゃいましょうよ!」
「え~ もういいんじゃない?」
「ええ、なんで?」
姫は2隻の軍艦を見ました。2隻はUターンしてる最中。
「あいつら、逃げる気よ。もうこれで十分でしょ」
準一は苦笑い。この人、追い打ちなんて絶対しないんだな。準一はそう
準一はトランシーバーを取り出し、
「じゃ、侍従長さんに連絡するよ」
準一はトランシーバーに、
「あ、もしもし・・・ あ、はい、大成功です! 今から帰ります!」
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