好奇心いっぱい リトルクイーンのいけない魔法《マジック》

のどか

「よーし、これでOK!」

 女の声。どうやら少女の声のようです。

 ここは暗闇の空間。上に丸い穴が空いていて、外からの光が差し込んでます。と言っても、外は夜らしく、差し込んでくる光はほのか。そのせいか、少女と思われる人影はかろうじて人とわかる程度。

 パチン。少女は指を鳴らしたようです。次の瞬間少女の眼の前にあった巨大な物影がふっと消えました。

 少女はつぶやきました。

「またまた大量ゲット! ふふ、これだけあれば・・・

 いやいや、もっと集めないと! やつら、とんでもない数で攻めてくるからなあ・・・」

 少女は何かに跨りました。

「よいっしょっと!

 さあ、次行こっかーっ!」

 次の瞬間、少女の身体はふわ~と浮かび上がりました。そのまま丸い穴に向かっていきます。


 満月にちょっと足りない月夜。ここは住宅街の隣りにある滑走路。どうやら自衛隊の基地のようです。人気ひとけのない場所に平屋の無骨な建物が建ってます。その屋根に丸い穴が空いていて、そこから1つの人影が飛び出てきました。

 人影は少女。そう、先ほどの少女です。少女は魔女のような帽子を被り、魔女のような紺色のワンピースを着ています。乗ってるものは箒。少女は魔女そのものなのです。

 年は12歳くらいか? 眼は碧眼。髪は腰まで伸びた美しい亜麻色。典型的な白人に見えますが、鼻の高さや眼の彫などを見ると、日本人にも見えます。

 少女はふと何かを感じました。

「うっ? マナの力・・・ またマナの力を感じた・・・」

 少女は眼の前に広がる広大な夜景を見ました。美しい夜景です。

「この世界にはマナの力を持った人がたくさんいる・・・ 何人かスカウトしてくれば、巨大な戦力になるんだけどなあ・・・」

 少女がそうつぶやいた瞬間、眩い光が少女の背後から襲ってきました。少女はびっくり。

「え?」

 激しいローター音。後ろから近づいてきたヘリコプターが突然投光器のスイッチを入れたのです。

 少女はあまりの眩しさに思わず眼をそむけました。

「くっ、いつの間に?・・・」


 ヘリコプターの中には2人います。うち1人、操縦してない方の乗員がヘッドセットのマイクに話しかけました。

「こちらJA20MP。連続窃盗犯と思われる人物を発見したのですが・・・」

 ヘッドホンに返事がきました。

「こちらでも確認した。捜査本部では飛行物体は人間ではなく、ドローンなどの機材と判断した!」

 操縦してない方の乗員はびっくり。

「ええ?」

 ヘッドホンから、

「ただちに狙撃、撃墜せよ!」

 乗員はたどだとしく応えます。

「りょ、了解・・・」

 操縦してる方の乗員が質問。

「なんだって?」

「あれはドローン、撃ち落とせだってさ」

 そう言い終わると乗員は、大きな狙撃銃を構えました。操縦してる乗員がそれを見て、

「お、おい、本当に撃つ気か?・・・」

 操縦してる乗員は箒に乗って飛行してる少女を見て、

「あれがドローンかよ?」

「じゃ、なんだと思う?」

「さあ・・・ 魔女?」

「そんなもん、この世には存在してないだろ。上からの命令だ、狙撃するぞ!」

 スコープの十字マーク《レティクル》と重なる少女の頭部。

 少女はふと殺気を感じ、横目で後方のヘリコプターを見ました。

「ふ、私を撃ち落とす気?・・・ じゃ・・・

 防御魔法スヴェルクーゲル!」

 少女がそう宣言すると、少女の身体は淡いボール状の光に包まれました。少女はドヤ顔。

「ふふ、この光、そんぞょそこらの飛び道具じゃ破れないよ!」

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