実践編<第1部>

第13話◆住・家賃

生活費に占める割合が最も多い「住居費」、安く抑えるに越したことは無い。


家賃は給料の3分の1と言われている。

交通費を除いた15万円の1/3は、5万円。共益費も含めて探していたが、駅から遠い場所でも見つからず、生活が苦しくなるけれど、妥協しようかと悩んでいたところ、同僚が良い情報をもたらしてくれた。


「JKK(公社)は単身でも入居できるよ」

「なぬ!?」


ホームページを見ると安い家賃の物件は、「子育て世帯等優先申込」と記載されていて、1週間のうちに申し込みが無いと、「一般」に切り替わるのだそうだ。

さっそく、電話で確認したところ、夕方変更になるとの事で、ジリジリとその時間を待ち、変わった瞬間「申込」ボタンを押した。


それから、審査や手続きを経て思ったのは、礼金が無いので、最初にかかるお金が約10万円で安い。

もちろん家賃も破格で、東京23区内とは思えない3万円。

そして、初めてこの地へ来て、道が分からない…

空襲で焼け残った地域らしく、道路が不規則、何度も同じ場所に着いてしまうのだ、呪い?

道を把握するまで1年かかった、方向音痴では無いのに…最初はGoogle Mapで確認しなければ、一本通りを間違えただけで、「ここどこ?」となってしまう事しばしば。


世田谷区にはタクシーに拒否されるほど複雑な地があると住んでいた知人に聞いた。その知人の実家は成城近くの団地で家賃5,000円(!)家賃値上げの時は、反対運動が起きたそうだ。


以前在籍していた会社は、いわゆる同潤会アパート系の古い建物の1階で、冬は寒く、夏は“G”がMac本体に入り込んでしまうような環境だった。


探せば、東京にも安い住居がある。地下鉄駅すぐの古い物件、共同玄関、共同トイレで4万円。


シングルマザーの友人は、区役所で相談し、中央区の住居を紹介してもらっていた。


今は公共の団地で、取り壊しが決まっているけれども、物価の安い地域で充分満足している。不便だから娯楽も無い為、無駄なお金を使う必要が無い。


  ◇  ◆  ◇  ◆


JKK東京都住宅供給公社、UR都市機構のサイトで調べる。

都営住宅はだいたい抽選、一般賃貸(公社)は都営に入れない人の為、URは家賃高目のイメージがある。

事前内覧が可能な場合がある。収入等資格を事前に把握しなければならない。


JKKの一般賃貸住宅で検索し、「子育」の記載があったら、一週間待つ。

表示が「一般」に切り替わり次第、「申込」ボタンを押す。

書類を揃え、手続きして、入居。


更新料が無いので、気に入ったら住み続けられる。自分好みに改造できる住宅もあるが、やはりみんな好き勝手に変えて、退去時に修復しているようだ。

低所得者向けなので、それなりの環境だという事を自覚する必要がある。隣の部屋の男性に不要なチラシをポストへ入れられ続け、耐える事2年。

だいたい子育て中の人達は去って行き、長い住人はほぼ老人。住めば都、身の丈に合えば、安寧の地になるかもしれない。

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