第5話:意外
「ふむ、よかろう、復讐くらいは手助けしてやろう。
だが、古の盟約があるので、余が直接手を貸すことはできん。
だからお前に魔術を教えてやる。
その魔術を使って自らの手で復讐を遂げるがよかろう」
なんだ、直接手を貸してくれないのですか。
ケチと言いたいところですが、安心できる所もありますね。
狂竜は古の盟約を大切にする性格のようです。
人間が盟約を破らない限り、人間の世界を襲う事はないですね。
問題は私の力でバッハマン公爵家と、その裏にいるコンプトン王家を滅ぼすことができるかですね。
「私一人の力で復讐しろという事ですが、どのような魔術を教えてくれるのですか」
「ふん、それはお前次第だ。
お前が覚えられるのなら、大地を割る事も、星を地上に降らす事も、ゴーレムの大軍団を創り出す事も可能だ」
「そうは言われますが、私にはそのような魔術を操れるほどをの魔力がありません」
「お前は本当にバカだな。
余が教えてやると言っているのだ。
お前の努力次第だと言っているのだ。
努力をすれば魔力くらいいくらでも増やせるわい。
まあ、苦しい鍛錬ではあるがな」
「魔力を増やすことができて、大魔術を使えるようになるのなら、どれほど苦しく辛い鍛錬でも耐えてみせます」
「ならばついて参れ」
狂竜がそう言ったとたん、目の前の風景が一変しました。
地平線が見えるほどの広大な大地が広がってます。
麦畑と野菜畑が広がり、牛や馬、山羊や羊がのんびりと草を食んでいます。
その広大な農地の中に、貴族の邸宅とまでは言いませんが、豊かな農民が住むような大きな家や家畜小屋が立ち並んでいます。
伝説の転移門魔術をこうも易々と使われると、実力に違いに愕然とします。
「陛下、これはいったい何ですか。
陛下に仕える家臣の家ですか」
「バカかお前は、少しはモノを考えよ。
百年ごとに生贄の人間が送られてくるのだぞ、その子孫に家に決まっているではないか、これだからバカと話すのは嫌なのだ」
こいつは、さっきからバカバカと連呼しやがって。
大魔術を教わる必要がないのなら、思いっきり文句を言ってやるのに。
「それは、陛下と生贄女性の子孫という事ですか」
「気持ちの悪い事を言うな、大バカ者が。
何で余が人間と番わねばならんのだ。
お前は他種族と番えるのか。
悪趣味にもほどがあるぞ」
誰が好き好んで他種族と番いたいものですか。
私だって他種族と番うなんて、考えただけで身の毛がよだちます。
ですが、狂竜の花嫁にされると聞かされれば、そう言う想像をして当然ではありませんか。
「でも、生贄の子孫と言われたではありませんか。
花嫁だけでどうやって子孫を増やしたのですか」
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