第52話 「凄いね、ジュン君」

 戦勝記念パーティーが始まってまだ一時間。

タッカー侯爵の後、セーラさんが来てからも何組かと挨拶をした。

その間、ずっとセーラさんは一緒に居てくれた。

その御蔭か、この場でボクに婚約の話を持ちだす人は少なかった。


「それにしても…」


「なんです?」


 セーラさんがジッと見て来る。

この人、相変わらず眼力が凄い…何か心まで見透かされてる気がして来る。


「ジュン君…昔からそうだったけど、魅力がヤバいわね」


「はい?」


「初等学院の頃から年に似合わない魅力の持ち主だったけど…今は色気さえ感じるような」


「そうだろうそうだろう。うちの息子は最高だからな!ハッハッハッ!」


 セーラさんの言葉に父上が機嫌良く笑う。

会う人みんな褒めて来るので、父上はずっと上機嫌なのだが。


「セーラさんだって美人じゃないですか。そろそろ婚約の話も出てるんじゃないですか?」


「あ、うん。父様は多分、君に話を持って行くと思うわ」


「え」


「理由は想像つくでしょう?さっきまでも何人か話を持ちだしてたし」


 マクスウェル公爵もボクを第三王子派に取り込みたいって事ですか。

藪蛇だった…


「もしかして、ボクに張り付いているように言われました?」


「うん。少なくともこのパーティー会場にいる間はね。言われなくてもそうしたと思うけど。ジュン君は、色んな人に狙われてるし」


「色んな人?それはどういう――」


「よう、ジュン。また会ったな」


 …出た。ナッシュ・カークランドだ。

この人、初等学院時代からボクに絡んで来るんだよな。

カークランド辺境伯家はグラウバーン家と仲が悪くて、父上も嫌ってるけど、ボクは今の所カークランド家自体に思う所はない。


 ナッシュは正直ウザったいけど。

わざわざ一人で何しに来たんだ?


「…久しぶりですね、ナッシュさん」


「あ?お前…一週間前にも会っただろうが。物覚えが悪…いや、そう言えば忘れるとか言ってたな。チッ」


 ああ…そう言えばノルンがそんな事言ってた。

ナッシュの事なんてどうでもいいし、他に色んな事がありすぎてサッパリ忘れてた。


「いいか、ジュン。運よく魔帝になって男爵になったからって調子乗んなよ。お前なんか魔法以外に取り柄の無い良いとこの貴族の坊ちゃんに過ぎないんだからな」


「あら。じゃあ貴方は何が出来るのかしら?ジュン君が魔法以外に取り柄の無い子供なら、貴方は何か彼以上に誇れる物があるの?」


「ああ!?ぅっ…セ、セーラ様…いらっしゃったのですか」


「ええ、最初から。ところで…どうして私には丁寧な言葉使いなのかしら?」


「そ、それは…セーラ様は公爵家の御令嬢で…」


「あら、ジュン君も公爵家の令息よ。更に男爵位を持った。私より、よっぽど丁寧な態度が必要な相手だと思うのだけど。カークランド辺境伯家ではどういう教育をなさっているのかしら。それとも宮廷騎士の方針なのかしら?」


「ぐっ…」


「ナッシュ!何してる!こっちへ来い!」


「は、はい!し、失礼します、セーラ様」


「この場に居るのは私だけじゃないと思いますけど」


「ぐっ…し、失礼します、ジュン…殿」


「様を付けるべきだと思いますけど。それにガイン様を忘れていません?」


「く、くそ…失礼します、グラウバーン辺境伯様」


「間違いだ。俺は公爵だ。本当にカークランド辺境伯家の教育はどうなっているんだ?挨拶もまともに出来んのか」


「う、くっ…し、失礼します」


 最後には逃げるようにして、ナッシュが去っていく。

ボクを睨みつけてから、小さく舌打ちして。


「相変わらず、小さい男ね。初等学院時代から何にも変わってない」


「全く、しょうもない男だ。器の小ささはカークランド家の遺伝らしいな」


「そうらしいですね。…どーしたの?ジュン君」


「あ、いえ。ナッシュは宮廷騎士に入ってたんだな、と思いまして」


 ノルンもそう言ってたけど、正直意外だ。

宮廷騎士になるのは七天騎士団の次に難しい騎士団だと聞いていたのだけど。


「そんなのコネに決まってるじゃない。宮廷騎士団の団長はカークランド辺境伯家縁の方だもの」


「とはいえ、実力が無ければすぐに弾かれてしまうがな。最低限の腕前はあるという事だろう。人格は問題外だが」


 つまりコネで人格には眼を瞑ってもらったと。


「因みに、カークランド辺境伯家はうちと同じ第三王子派よ」


「へぇ。何か縁があるんですか?」


「いいえ。うちと縁を結ぶのが目的なんでしょうね。兄様に縁談を持ち掛けていたわ。ついでに私とナッシュの縁談も。即座に御断りしたけど。貴方には興味ありませーんって、本人に直接」


「あ、そうですか…」


 中々にキツい事を…ちょっと同情しちゃうな。


「ま、ナッシュがジュン君に絡んで来るのは私の事とは無関係…ではないかもしれないけど。ナッシュみたいにジュン君を妬んでるのは他にも居るわ。後は私みたいにジュン君の婚約者にって親に言われてる子達とか。他には…」


「失礼。君がジュン・グラウバーン殿かな?」


「あ、出た…」


 出た、と小さな声で呟いたのはセーラさんだ。

ボクも同じ思いだけども。


「私は蒼天騎士団団長クリス・ビッテンフェルトだ。ビッテンフェルト伯爵家の次男でもある。よろしくな。ガイン様も、ご無沙汰しておりました」


「ああ」


「よ、よろしくお願いします。ジュン・グラウバーンです」


 知ってます。ついでに言うとボクを狙ってる事も知ってます。

七天騎士団の団長としても伯爵家の次男としても参加出来るから、居るかなーとは思ってたけど。


「君の噂は聞いていた。非常に優秀で美しい少年だと。是非会いたいと思っていたのだ」


「こ、光栄です…」


「それにラティスから聞いたが、君は魔法の指導も長けているのだろう?是非、我が蒼天騎士団にも魔法の指導を――」


「兄さん、ジュン君には近づかないように言ったでしょう?」


「ル、ルクレツィア…」


「こんにちは、ジュン君。兄さんに変な事されませんでしたか?」


 ルクレツィア?白天騎士団の副団長、ルクレツィアさんだ。

え?兄さん?


「えっと…ルクレツィアさん?御二人は御兄妹なのですか?」


「あ、はい。御恥ずかしい事に」


 そ、そう言えばルクレツィアさんの家名もビッテンフェルト…言われて見れば二人は似てる気がする。


「クリス。貴方にはジュン君は渡さないように言ったでしょう」


「ラティス…ラティスにそんな事言われる義理は無いぞ…」


「あるわよ。こんにちは、ジュン君。私が来たからにはもう安心よ。クリスや他の悪い虫は近づけないから」


「アハハ…あ、ありがとうございます」


「七天騎士団の団長格からこうも親し気に…流石ね、ジュン君。私もジュン君って呼ぶんじゃインパクトが薄いかしら…いっそ呼び捨て…いえ、ハニー?」


「張り合い処はそこじゃないと思いますよ、セーラさん」


 何で張り合ってるんだろう、セーラさんは。


 しかし、他にも七天騎士団の人達は居そうだな。

少なくともヒューゴ団長とか居そう。


「やっほー、ラティス。クリスちゃんも。何してるの~ん?」


「ヒューゴまで来たか…これは出直した方が良さそうだ。では、ジュン君。話の続きはまた今度。ガイン様、失礼します」


 旗色が悪くなったと感じたクリス団長は退散した。

いや、最初から勝ち目とか無いんだけども。


 で、やっぱり居ましたか、ヒューゴ団長。


「あらら、行っちゃった。あ、御久しぶりです、ガイン様。そちらが御子息のジュン君ね?」


「うむ。だがお前はあまり近付くなよ、ヒューゴ。ジュンが七天騎士団におかしなイメージを持ってしまう」


「ひどいですね…今はちゃんとした格好してるのにぃ。…コホン。初めまして、ジュンちゃん。橙天騎士団団長ヒューゴ・ニューゲイトよん。気軽にヒューゴ団長って呼んでね」


「はい、ヒューゴ団長」


 普段はちゃんとした格好してないのは自覚があったんですね、ヒューゴ団長。

でも、今も何かおかしな成分がにじみ出てる気がします。

ちゃんとした礼服なのに。多分、そのサングラスがダメなんだと思います。


「それからこっちは妻のアイリーン」


「ヒューゴの妻、アイリーンです。夫ともども、よろしくお願いしますね」


「あ、はい…こちらこそ」


 本当に結婚してたんですね…ヒューゴ団長。

奥さんもオレンジの髪だけど雰囲気はまるで違う。

清楚な御嬢様そのものといった雰囲気だ。


「で、この子は娘のフィル」


「おう!フィルだ!よろしくな魔帝!」


「あ、うん。よろしくね…娘?」


「そうよ。荒っぽい口調で男の子の恰好してるけど、女の子なのよ。誰の影響を受けたんだか…」


 間違いなく父親の悪影響だと思います。

フィル…ちゃんは六歳前後のボーイッシュな女の子だ。

短髪でやや眼つきが悪い。


「それよりなにより…お子さんが居たんですね、ヒューゴ団長…」


「え?うん…何故、そんなに意外そうな顔するの?初対面よね、あたし達」


 そうであってそうじゃないんです。

説明出来ませんけど。


「七天騎士団の団長が三人も挨拶に来るなんて…凄いね、ジュン君」


「そうなんですかね?」


「そうよぅ。七天騎士団と言えば国中の憧れの騎士団なんだから。その団長が自ら挨拶しに来るなんて…自慢出来るわよ?」


「あら。でしたらわたくしも挨拶させて頂こうかしら」


「え?」


「チッ」


「あら来たのね、ネーナ」


 ネーナ?紅天騎士団のネーナ・クリムゾン団長か。

赤いドレスを纏った褐色肌の女性。

燃えるような赤髪で瞳も赤。そして少し長い耳。

バーラント団長はエルフの血が入ってるらしいけど、彼女はダークエルフの血が入っているらしい。


 そしてバーラント団長は本当にクリムゾン団長と仲が悪いんだな。

そんな思いっきり舌打ちなんてしなくても…


「初めまして、魔帝ジュン・グラウバーン様。わたくしはネーナ・クリムゾン。紅天騎士団の団長をしておりますの」


「初めまして。クリムゾン団長のお噂はかねがね。火魔法の腕前において王国最強だと聞き及んでます」


「ええ。火魔法ならエメラルダ様にも負けませんわ。勿論、貴方にも」


「は~ん?それはどうかしらね~?ジュン君はスッゴいだから!ジュン君と戦ったらあんたなんてけちょんけちょんにして焼け焦げた駄肉に変えられちゃうわよ。一瞬よ、一瞬」


「五月蠅い白羽虫ね。今は貴女と話してるのではないのだけど?黙っててくれないかしら?」


「誰が白羽虫よ!この―」


「はいはい、ラティス団長も控えてください」


「ネーナもよ。此処にはお偉いさんが沢山いるんだから。というか、ガイン様の眼の前よ?ジュンちゃんにも女の喧嘩なんて醜い物見せたくないでしょ?ウチの子の教育にも悪いし」


「あの…私も居るんですけど…」


 マクスウェル公爵家の令嬢であるセーラさんが空気扱いだ。ちょっと可哀想…


「う、コホン。失礼しました。御挨拶が遅れて申し訳ありません、ガイン様」


「気にしなくていい。息子がモテモテなのは見てて気分が良いからな。ハッハッハッ!」


「相変わらずですのね。、ガイン様…」


「ねぇ、ネーナ。あなたも居るって事は他の団長も居るのん?」


「居ますわよ。全七天騎士団の団長が揃ってますわね、この会場に。皆、史上最年少で『帝』に至った少年に興味があるようですわ」


「ボクですか…何故です?」


「何言ってるの。皆ジュン君を自分の騎士団に勧誘したいんでしょ」


「皆ではありませんわね。黄天騎士団は強さでは無く清廉潔白である事が第一条件ですし、黒天騎士団は色々特殊ですし。白天騎士団は女性しか入団出来ませんもの。皆、興味があるのは間違いないのでしょうけど。ところで貴女は?」


「あ、私はマクスウェル公爵家のセーラ・マクスウェルです」


「あ、あら、マクスウェル家の?これは失礼致しましたわね」


 セーラさんがマクスウェル公爵家の人間だとわかると、バーラント団長達も慌てて挨拶してた。

流石マクスウェル公爵家。王国で最大の貴族家の一つ。

同じく公爵家出身のヒューゴ団長は知ってたみたいだけど。


「んんっ…それで、本題に入ってよろしいかしら?魔帝様」


「あ、はい…出来れば魔帝様はよしてください。名前で呼んで頂ければ…」


「では、ジュン様。我が紅天騎士団に入りませんこと?」


「え?」


「ちょ、ちょっとネーナ!」


 ボクが紅天騎士団に?魔法使いの集りだそうだから魔帝が欲しいというのはわからなくもないけど…


「あの、ボクは男ですよ?」


「勿論、知ってますわ。紅天騎士団は確かに女性だけの騎士団ですが、別に男性が入ってはいけないという決まりはありませんの。ただ私が男性の入団を認めて来なかっただけで」


「は、はぁ…では何故?ボクが魔帝だからですか?」


「それもありますが…エメラルダ様から貴方の印象を聞きましたの。実に面白い逸材だと。あのエメラルダ様が手放しに褒める人物であれば問題ないでしょう。それに…」


「それに?」


「紅天騎士団に入れば他の七天騎士団からは余計なちょっかいを受けにくくなりますわ。クリスの蒼天騎士団とか…そこの白羽虫の白天騎士団とか」


 それは…ちょっと御得な特典かもしれない。

白天騎士団は良いとして、蒼天騎士団からのちょっかいは勘弁して欲しいから。


「ジュン君は渡さないわよ、ネーナ。ジュン君は白天騎士団のアイドル。他の騎士団に渡すくらいなら白天騎士団で貰い受けるわ」


「あら?とうとう頭がどうかしたのかしら?白天騎士団は王命の取り決めにより女性しか入団出来ない筈ですけれど?」


「な、何とかするわよ!それに貴女はジュン君にそれほど興味無い………」


「な、何かしら、その眼…」


「貴女、まさか。ジュン君に一目惚れしたとか言うんじゃないでしょうね」


「は、はぁ?!わたくしが?この少年に?おバカな事言わないでもらえる?」


「いいえ!その反応は図星だった時の反応よ!貴女は嘘をついたり誤魔化そうという時には必ず右頬に手を当てる!」


「うっ!」


 え…マジですか?


「だ、だとしたら?貴女には関係の無い話ではなくて?」


「いいえ!言ったはずよ!貴女には渡さないと!こんのハナタレ女!」


「なっ!いいよったね!こんのおっぺしゃんが!」


「なっ…あーたに言われとうないばい!めっちょ豚!」


 壮絶な口喧嘩が始まってしまった。

しかもバリバリの方言で。二人共王国北方の出身の筈だから…これは北の訛りなのか。


「あの…」


「ああ、うん。何言ってるかわかんないのよね?大丈夫、あたしもわかんないわ」


「御二人は共に王国北方の出身で…お互いの歳も近く領地も隣り合わせだったので幼馴染みなんですけど…昔から仲が悪いそうです。理由は知らないんですけど」


 と、ヒューゴ団長の奥さん、アイリーンさんが教えてくれた。

ヒューゴ団長と付き合いの長い二人だから、妻のアイリーンさんも二人を良く知ってるらしい。


「ああ、ほら、二人共。いい加減にしなさいな。凄く目立ってるわよ」


「ふぅ~ふぅ~…ふん!」


「ハァーハァー…お、御見苦しいとこをお見せしましたわ。申し訳ありません」


「い、いえ…ちょっと驚いただけですので」


「俺も面白かっただけだ。気にするな」


「…ええと…きょ、今日はこれで失礼しますわ。紅天騎士団入団の件は考えておいてくださいまし。では、失礼」


 と、ここでクリムゾン団長は退場。

遠巻きに見物してた人も散って行った。

流石にあの喧騒の後だ。暫くは話し掛けてくる人は…


「あ、あの~…」


 居ない。と、思っていたのに、居た。

誰だ、空気の読めない奴は。


「って、ニルヴァーナ様?」


「は、はいぃ。ノア・ニルヴァーナですぅ」


 何か、凄く怯えてる?何故そんなに汗をかいて…いつぞやの控室の時みたいだ。

奥さんのエマさんは呆れた顔してる。


「どうかされましたか?」


「じ、実は…他の方々に私を紹介して頂けませんか?」


「はい?」


「はぁ…夫は上級貴族の方々に囲まれて委縮してしまってるのです。昨日までは騎士爵で上級貴族の方々と関わりなど殆ど無かったものですから、気持ちはわかるのですが」


 ああ、なるほど。ここは上級貴族用のパーティー会場。

そして顔見知りがボクしか居ない、と。


「ところでアイシスさんはどちらに?」


「む、娘は友人が居る騎士用のパーティー会場に行ってしまいました。此処だと肩が凝りそうだしお偉いさんに挨拶回りとか面倒だと言って…」


 ああ、言いそう…仕方ないな。


「では最初に…父です」


「ジュンの父、ガイン・グラウバーンです。よろしくお願いする」


「は、はひ!ほ、本日、陛下より子爵位を賜ったノア・ニルヴァーナです!き、貴族としてのあれやこれやを教えて頂ければ幸いですぅ!」


「…ニルヴァーナ殿。爵位は私の方が上だが同じアデルフォン王国貴族だ。そこまで畏まらなくても結構。もっと堂々とされるがよろしい」


「ほら、公爵閣下も仰っているだろ。しゃんとしろ、しゃんと」


「う、うん…」


 うーん…この人は本当にアイシスさんの父親なのだろうか。

エマさんは凄くアイシスさんの母親っぽいんだけど。


「えっと…アイシスの御両親なら私が力になりましょう」


「貴女は確か…白天騎士団の団長の?」


「はい。ラティス・バーラントです。アイシスには助けられてます。さ、他の方に紹介します。先ずはタッカー侯爵様を御紹介します」


「こ、侯爵閣下?いきなり?」


 ニルヴァーナ子爵殿は緊張しながらも何とかバーラント団長に付いて行った。

ちょっとフラついてるけど…大丈夫かな。


「大丈夫かな、あの人。凄く心配」


「どうかしらねぇ…それじゃ、あたしもそろそろ行くわ。また今度ゆっくりお話ししましょうね、ジュンちゃん」


 ヒューゴ団長も奥さんと娘さんを連れて挨拶周りに戻った。

それを見届けてルクレツィアさんも。


「セーラさんは行かなくていいんですか?」


「私は良いのよ。言ったでしょ?張り付いているように言われたって。でも…ねぇ、他にも同級生が来てるから会いに行きましょうよ。あっちにサーシャやテレサが――」


「悪いけど、それは後回しにしてよ、セーラ・マクスウェル」


「私も彼と御話ししたいの。待ってもらえるかしら」


「え?あっ…」


 …今度は第二王子と第一王女が一緒に御登場だ。

いずれ挨拶に行かないとって思ってたけど、まさか向こうから来るとはね。

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