第四話

 結局昨日はあまり寝付けなかった。

昨日は疲れてたし、いつもはすんなり寝れる方なのに。


 今日は体育の授業があって男女合同で体育祭の事前練習をした。

黒川は端っこで先生の雑用係になっていた。

もしかしたら運動もできないくらい目が悪いのかな、と思っていたら後ろで

ガシャーンという何かが割れた音がした。

音のした方を見ると黒川が得点板の下敷きになっていた。すぐに立ち上がったが振り返った顔を見ると、額からは血が流れていた。

その瞬間私は気を失ってその場に倒れ込んだ。



(…ん、頭いたい…)

「起きたか?」

「うわああああああ!!」

なに!?いきなり黒川の顔ドアップ!?

「あら、高崎さん起きたのね、その声は元気みたいね笑

本当びっくりしたわよ、いきなり頭から血流した黒川くんが高崎さんおんぶして駆け込んでくるんだもん、あなたたち若いわね〜」

いやいや、先生あなた何歳よ。

え?

「おんぶ!!!???」

「仕方ないだろ、そうするしかなかったんだから。」

少女マンガか!!!てか体重重かったらどうしよう、いや絶対重い。

「あなたたち、元気になったなら次の授業は出なさいね〜」

って今何時?11時半って、三限目終わるじゃん!

「し、失礼しました〜」

1時間も寝てたの!?やば、ノート写させてもらわないと…

誰か話しかけやすい人…

「なあ、大丈夫か?」

「心配かけてごめん、てか黒川の方が重症そうだけど」

「それもそうだな」

そう言って少し笑った黒川の横顔があまりに綺麗で、目が離せなくて、

やがて居た堪れなくなって目を逸らした。

そうだ、これはきっと恋じゃない。

美少年を近くで見すぎてちょっと浮かれているだけだ。

私は今まで胸にずっと残っていた小さな疑いを切り捨て、教室へ急いだ。

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