学校にて
僕が女体化して2週間が経とうとしていた。僕はただ性別が変わっただけなのでクラスの友達とはすぐ元の関係に戻れた…と思うが…
いやそんなことなかった。めっちゃいやらしい目で見てきてたわコイツら。元男とか関係なしだな。めっちゃ胸の方見てるし…
あ、そういえば制服の件、今日の放課後少し残ってくれって言ってたな。ついに僕も女生徒用の制服になるんか…雫に借りたあの一回しか人生で着たことないからな…なんだかちょっと楽しみだ。今よりもっといやらしい目で見られるのは分かってるが、とても楽しみではある。いや一回着てるからそんな感覚は変わらないだろうけど!あるじゃん!こういうこと!ね!とかなんとか考えてるうちに六時間目の授業が終わっていた。残すは掃除のみ。意外と面倒くさいが、成績に繋がってる気がするのでめっちゃ真面目に僕はしている。あ、それと女の子になってから足が遅くなった気がする。いや、元から運動音痴であんまり速くなかったんだけども。と言うわけなんで朝は軽くランニングとかしている。運動不足解消のためにもな!それのおかげかも知れないが、最近健康になった気がする。朝早起きするので寝るのも自然と早くなっているから超健康的な生活なのだ。早寝早起きは意外と健康の役に立つぞ!…いや誰に言ってんだ。と、もうSHRが終わり、気づけば放課後になっていた。僕は担任の所へ行った。
「お、来たか。それで制服のことなんだけど…とりあえず今はこの制服を貸しておく。お前の制服はまだもう少し時間がかかるみたいだからな。」と、まあそりゃ時間かかるよな。学校から貸してもらえるんだしこれだけでもありがたいけどな。まさか制服まで頼んでもらえるとは思わなかった。
「ありがとうございます!明日からこの制服を着て行きますね!あ…でも男子用の制服は…」
「文化祭にでも使うでしょうから取っておきなさい」と言われたので取っておくことにした。まあ何も言われなくても取っておくつもりだったが一応聞いてみた。ないだろうけどもしかしたら回収って事もあったかも知れないしな!
「それで、どうだい学校は?女性になってからもう2週間近く経つが馴染めてきたかい?」
「はい…まぁ…前と同じようにはいかないですがね…なんとか馴染めてきました。」
「そうか、それならよかった。でも無理はしすぎるなよ?性別が変わったって事は感じるストレスなんかも変わっているかも知れないんだからな?お前が大丈夫でも体が大丈夫じゃないかも知れないから自分と向き合って、困った事があったら先生達に相談しなさい。」と言ってくれた。やっぱりこの先生はいい先生だな。そりゃ周りからの信頼も厚いわ。
先生との話が終わって、僕は優希を待たせていると思い少し早足で下駄箱へ向かった。
「あっ」気づくと僕は階段から落ちそうになっていた。
「アンタ、何やってんの?」
ん?この声は雫?…いやてかこっちのセリフだわ!アンタこそここで何やってんだよ!
「よ…よう雫…助かったよ…」
「?…助かった?何言ってんのアンタ。自分の手でしっかり手すりにつかまってるじゃない。」
あ…はずかしいぜ!
僕は体勢を立て直し、雫に聞いた。
「お前こそ何やってんだ?生徒以外進入禁止やぞ?」
「いや…それが…今日はお兄ちゃんがお母さんと出かけてるのよ。だからさっきメールで『忘れ物したから学校からとってきて席は…多分日向いるから教えてもらって!』って…私ってバレたらやばいんじゃないか聞いたんだけどね…」
「そりゃ災難だったな。よし、僕についてこい!教室まで案内するぞ!」
「別に、アンタなんていなくても1人でたどり着けるしお兄ちゃんの席だって分かるわよ!」
「はいはいツンデレ乙!身体的に見れば僕は女の子だからお前が拘ってる『お兄ちゃん以外の異性』には入らないから安心しろ!」
「はぁー…じゃあささっと行きましょ。私の自由時間が減っちゃうわ。頼むわよ日向」
なんか久しぶりに日向って呼ばれた気がするな。まあそんな事はどうでもいいや。とりあえず教室まで案内する。そっからはもう流れだ。コイツの事だしすぐ見つけるだろう。
「ねぇ日向!お兄ちゃんの席はどこなの?」
雫にしては珍しいことを言うなと思い
「あれ?持ち前のブラコンパワーとかですぐ見つけれるんじゃないのか?」とか言ってみた。すると雫は
「私ね、もうブラコンやめたんだ。」
え、いやブラコンやめたってどう言うこと?いやそのまんまの意味か。ってえ?やめた?こいつが?兄一筋だったコイツが?まさかな
「冗談だろ!あんな兄一筋だったお前が…」
「いや本当よ。なんかもう嫌いになっちゃった。お兄ちゃんとお母さんに飽き飽きしちゃったんだ。」
その目はどこか哀しそうで、それでいて本気の目だった。
「…そうか…なんとなく察したよ。優希の事だしな。あ、優希の席は教卓から見て左から2番目の前から3番目の席だよ。さっさとアイツの忘れ物取って帰ろうな」
なんやかんやいって雫とまともに会話出来てる事に内心喜んでる僕がいる。
「本当アンタがまともでよかったと思うわ。いや、お兄ちゃんと親友(?)て時点でまともじゃないと思うけど…」
「腐れ縁ってやつだよハハハッ!いやあと親友じゃねぇし!!普通の友達だし!」
「そうね」と言った時に雫は少し笑ったような気がした。コイツの笑顔を見るのなんて何年振りだろう。家族の前ではあるのだろうが僕の前ではほとんど笑わない。まず、喧嘩ばかりしてまともに顔を合わせることがなかったのだ。
「ほんっと可愛い顔してるのにもったいないよなぁ」
あっ声に出てた。
「可愛いって…私の事…?」
「え、あ、はい…」
僕は言い訳をしようとしたが咄嗟に言葉が出てしまった。
「ふーん、あっそ。じゃあ帰るわよ。」
「お…おう」
あれ?なんも言われなかったぞ?!これはもしや雫との好感度前の-100より上がってるんじゃね?!ちょっと嬉しいな!と僕は1人で舞い上がりながら雫と家へ帰っていった。
あ、ちなみにどう帰ろうが田端家は通るので一緒に帰っているんだ!決して変な感情は抱いてないからな!うん!しかも友人の妹だし!そういう関係になったら気まずくてならんから絶対ない!だから安心してくれ!
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