第122話 ハシビロコウに導かれて

 バーニング火山にたどり着いたヒビキたちは、ある秘密を発見した。

「火山は、文字通りの山だけでなく、カルデラのような凹地形とつじがたも火山と呼ぶ。火山の地下にはマグマがあり、そこからマグマが上昇じょうしょうして地表に出る現象が噴火ふんかである。噴火には、様々な様式があり、火山噴出物の成分や火山噴出物の量によってもその様式は異なっている。火山の噴火はしばしば人間社会に壊滅的かいめつてき打撃だげきを与えてきたため、記録や伝承に残されることが多い。Volcano は、ローマ神話で火と冶金と鍛冶かじの神ウルカヌスに由来し、十六世紀のイタリア語で volcano または vulcano と使われていたものが、ヨーロッパ諸国語に入った。このウルカヌスは、イタリアのエトナ火山の下に冶金場をもつと信じられていた。シチリア島近くのヴルカーノ島の名も、これに由来する。日本で volcano の訳として火山の語が広く用いられるようになったのは、明治めいじ以降いこうである」

「溶岩にじょうろで水をやると…」

「ようかんになった!」

「ようかんは、寒天かんてんの添加量が多くしっかりとした固さのれん羊羹ようかんと、寒天が少なくやわらかい水羊羹がある。また、寒天で固めるのではなく、小麦粉こむぎこ葛粉くずこを加えて蒸し固める製法もあり、これは蒸し羊羹と呼ばれる。単に羊羹と称した場合は煉羊羹を指す事がある。煉羊羹は糖度とうどが高いため保存性が高い。そのため適切な状態で保存すれば常温で一年以上の長期保存が可能なものが多い。この特徴を生かして非常食としても販売はんばいされているものもある。また、糖度が高く、少量でも高カロリーであり、体内ですぐにエネルギーに変換へんかんされることから、スポーツの補給食としても活用されており、専用の商品も開発されている」

それは、溶岩に水をかけるとようかんに変わることだ。

 すると、

「誰か助けて!」

ハシビロコウがけむりのモンスターにおそわれている光景を目撃した。

「行こう!」

「うん!」

現場に向かうと、煙のモンスターにとらわれたハシビロコウの救出作戦が始まった。

「決めるなら、今しかない!」

「俺も力になってみせる!」

ヒビキとケンタは力を合わせて、

「ジュエリーレイン!」

「マーブルスパーク!」

チララとバニラ、ココアの魔法まほうによって、煙のモンスターを倒した。

「ハシビロコウは、本種のみでハシビロコウ科ハシビロコウ属を構成する。別名シュービルである。大型の鳥類で、頭頂までの高さは百二十五センチメートル、中には百五十二センチメートルに達するものもある。翼開長二百四十五センチメートルである。体重五キログラムである。オスは平均五キログラムと、メスよりも大きい。羽色は青みがかった灰色で、背では緑色の光沢を帯びる。後頭に短い冠羽かんうがある。巨大なくちばしを持ち、たん黄色こうしょくに不規則な灰色の模様がある。嘴峰長二十一センチメートルである。和名は嘴の広いコウノトリ、英名の Shoebill は靴のような嘴を意味している。また、学名はラテン語でクジラ頭の王様という意味である。あしは長く、ふ蹠長二十三センチメートルである。中趾なかあしゆびちょうは十七センチメートルである。夜行性で、昼間はヨシやパピルスなどの草の間などで休む。単独で生活する。基本的には単独行動を好む。頸部けいぶをすぼめながら飛翔する。羽ばたきの回数は一分間に百五十回と、鳥類の中では非常にゆっくりとしている。長い飛翔はまれだが、興奮こうふんした際には、元いた場所から三百メートルほど飛ぶこともある。鳴管が退化しており鳴くことは少ないが、嘴を打ち鳴らしたり飛翔中に鳴いたりすることもある。クラッタリングは嘴をたたき合わせるように激しく開閉して音を出す行動で、ディスプレイや仲間との合図に用いられる。また、首をりおじぎをする様は相手に対する親愛しんあいを意味しているという。ゆったりとした動きで、えさとするハイギョが水面にかんでくるまで数時間動きを止めることがあるため、動かない鳥として知られる。食性は主に魚食性で、ハイギョの他、ポリプテルス・セネガルス、ティラピア、ナマズなどを食べる。カエル、水棲すいせいのヘビ、ナイルオオトカゲ、ワニの子供など、湿地しっちに住む脊椎せきつい動物どうぶつを食べることもある。嘴を下方へ向けたまま直立して動かずに、足元を通りかかった獲物を、頸部を伸ばし嘴で咥えて捕食する。捕えた獲物は嘴を動かして破砕はさいする。獲物を狙うときはじっとして動かず、これは大きな図体で動き回り魚に警戒感を起こさせることをけるためと考えられる。大型のハイギョなどを好み、ハイギョが空気を吸いに水面に浮かび上がるすきを見て、素早く嘴で捕まえ丸呑まるのみする。消化には数時間を要し、その作業にそれなりのエネルギーが費やされる。カバが水中にいる際に魚を水面にいやることがあり、その行動が期せずして、餌をろうと水辺に立つハシビロコウのためになることがある。草の間に水生植物を積み上げた産座の直径が一メートルに達する巣を作る。ペアの間ではクラッタリングやおじぎのようなディスプレイを行う。二個の卵を産む。雌雄しゆう交替こうたいほうらんし、抱卵期間は約三十日である。生後三年で成熟せいじゅくする」

「助けてくれてありがとう!僕はビロー!」

ビローはヒビキたちに挨拶あいさつすると、

「ここのてっぺんに魔王がいると聞いたのだが…」

「だったら、プロミネンス地方の主である僕に任せて!」

「ありがとう!」

と、火山の頂上まで案内することになった。

「ちゅぴ!」

「ちゅる!」

「えいっ!」

ビローはヒビキたちを乗せると、空高く飛びあがった。

「すごい!」

「景色がきれいだ!」

そして、

「着いたよ」

「助かる!」

ヒビキたちは、魔王が待ち構えている火山の頂上にたどり着いた。

「グハハハハハッ!」

「あの声は…」

「魔王だ!」

そこに、魔王が現れた。

「本物の魔王が、ついに現れたんだね…」

ヒビキたちは、初めて実物で見た魔王に言葉を失ったのであった。

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