釣り大会~長い魚編~

 「ただいまから、り大会を始めるのじゃ!」

ハミングタウンの広場に集められたヒビキたちは、カメじいの説明を聞く。

「今回のテーマは、長い魚なのじゃ!制限時間内にどれだけ釣ったのかを競うのじゃ!」

こうして、釣り大会が始まった。

 せせらぎ川が流れている町はずれの森では、

「これは、ウナギ!」

「ウナギは、世界中の熱帯から温帯にかけて分布する。ニホンウナギ、オオウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギなど世界で十九種類が確認されている。フウセンウナギやデンキウナギ、タウナギなど、外見は細長い体型をしていてウナギに似ている魚類には、分類学上では別のグループでもウナギの名を持つ種がある。また、ヤツメウナギ、ヌタウナギは硬骨こうこつ魚類ぎょるいですらなく、原始的な無顎むあご魚類ぎょるいに分類される。種類や地域によっては食用にされる。日本では主にニホンウナギで蒲焼(かばやき)やうなぎどんなどの調理方法が考案されて、古くから食文化に深い関わりを持つ魚である。漁業ぎょぎょう養殖ようしょくともに日本では広く行われてきたが、近年は国外からの輸入が増えている。泳ぎはさほど上手くなく、遊泳速度はおそい。他の魚と異なり、ヘビのように体を横にくねらせて波打たせることで推進力を得る。このような遊泳方法は蛇行型だこうがたと呼ばれ、ウツボやハモ、アナゴなどウナギと似た体型の魚に見られる。一般的に淡水魚たんすいぎょとして知られているが、海で産卵さんらん孵化ふかを行い、淡水たんすいにさかのぼってくるこう回遊かいゆうという生活形態をとる。嗅覚きゅうかくは非常にすぐれておりイヌに匹敵する。うろこはあるが、真皮の中に埋まった状態であり、体表は粘膜ねんまくおおわれている」

「かば焼きにするとおいしそう!」

サクラとラビカは、ウナギを釣った。

 シャインビーチでは、

「ウツボだ!」

「ウツボは、日本ではその中の一種 Gymnothorax kidakoの標準和名としても使われる。温暖な地域の浅海に生息する海水魚で、するどと大きな口を持つ大型肉食魚でもある。日本では南西なんせい諸島しょとうおよび、ここを通り流れる黒潮が通る海域に多くの種類が分布する。和名は、長い体が矢を入れる容器靫に似ているからという説、あるいは岩穴にひそむ習性から空洞くうどうを意味する古語うつほらが転用されうつほを経てうつぼとなったという説もある。英語では "Moray" または "Moray eel" と呼ばれる。大きさは全長二十センチから四メートルまで幅広はばひろいが、全長一メートル前後の種類が多い。他のウナギ目魚類同様に体は前後に細長い円筒形えんとうけいで、はらびれが退化し、背鰭・尾鰭おひれしりひれひとつながりになっている。ただしウツボ類の体はいくらか上下に平たいものが多く、腹鰭のみならず胸鰭も退化している。体色は種によって様々で、多くは生息環境に応じた保護ほごしょくとして地味な色をしているが、トラウツボのように単体で見ると派手な紋様をもつものもある。中にはハナヒゲウツボのようにあざやかな体色のものもいる。口は大きく目の後方まで達し、鋭い歯が発達する。種類によっては鼻先はなさき湾曲わんきょくし、口を完全に閉じることができないものもいる。なおウツボ類は獲物えものを捕えるための口顎のおくに、食べたものを食道に進めるための咽頭いんとうあごを持っている。また魚の鼻孔は左右に二対あるが、ウツボ類は二対の鼻孔びこうが鼻先と目の近くに離れてついている。鼻孔が管状に伸びた種類が多く、ハナヒゲウツボでは花びら状にもなる。鰓孔えらあなは小さく目立たない。皮膚ひふあつく、体のみならずひれまでも覆う。鱗は微小びしょうで皮下にもれる。全てが温暖な地域の浅海に生息し、特にサンゴしょうや岩礁に生息する種類が多い。一部の種類はマングローブを含む汽水域や淡水域にも侵入する。表皮が湿しめっていれば粘膜を介した皮膚呼吸によって三十分ほどは水中でなくても活動が可能なので、強力な嗅覚で、しおまりに這い上がって小魚をったり、岩場で魚をさばいている釣り人のところへ上がってきたりすることがあり、注意を要する。基本的には巣穴からあまり動かず、岩陰いわかげ洞窟どうくつに潜んで獲物を待ちせるが、夜になると海底近くを泳ぎ回ることもある。食性は肉食性で、魚類・甲殻類こうかくるい・頭足類などの小動物を大きな口で捕食する。特にタコ類にとっては有力な天敵の一つとなっている。またテトラポッドや岩礁の食物ピラミッドの頂点である。自分より大きな敵が近づいた時は大きな口を開けて威嚇いかくし、それでも敵が去らない場合は咬みつく。どくはないが歯は鋭くあごの力も強いので、人間が咬みつかれると深手を負うことになる。ウツボ類の分布域では、潜水や釣りなどの際に十分な注意が必要である。ただし見た目のイメージとちが臆病おくびょうな所もあり、人間の側から無用な攻撃や接近をしない限りは積極的にみ付いてくることは少ない。潜水中にウツボと遭遇そうぐうした際にはゆっくりとはなれれば攻撃こうげきを受けることは少ない。またダイバーが魚の切身や魚肉ソーセージ等の餌を見せると、巣穴から出てきてそれに喰らいつくことがある。ダイバーに慣れたウツボの中には巣穴から出てきて餌をねだったりする行動も見られる。他の動物にとっては危険な肉食魚ではあるが、ウツボ類の周囲にはオトヒメエビ、アカシマシラヒゲエビ、ゴンズイの若魚、ホンソメワケベラなどの小動物が見られる。これらはウツボ類の皮膚表面や口の中の寄生虫を掃除そうじすることでウツボ類と相利共生しており、ウツボ類もこれらの小動物を捕食することはまずない。また、イセエビ類とも相利共生の関係にあり、この場合は、イセエビは天敵であるタコから守ってもらえ、ウツボの方は大好物のタコがイセエビにられて自分から寄ってきてくれるというものとなっている。サンゴ礁付近ではハタ類と協力して狩りを行うことも報告されている。またウツボ類の食事のおこぼれにあずかろうと多くの小魚がウツボの採餌についていくといった行動も観察されている」

「毒があるから気を付けて!」

ヒビキとチララは、ウツボを釣った。

「足音に敏感じゃから、歩いて近づくのじゃ!」

カメじいからのアドバイスを聞いたケンタとナツは、

「出た!」

「これは…」

「ハナヒゲウツボ!」

「ハナヒゲウツボは、本種のみでハナヒゲウツボ属 Rhinomuraena を構成する。ウツボ類の中でも特に鮮やかな体色と鼻先の肉質にくしつ突起とっきが特徴である。最大で全長百三十センチメートルに達する。体は前後に細長い円筒形だが、他のウツボ類よりも比較的ひかくてき細長ほそながい体型をしている。片側に二つある鼻孔のうち、前の鼻孔が管状に伸び、さらに管の先端せんたんが花びら状に開く。ハナヒゲウツボの和名はここに由来する。また、この他にも上下の顎に細い肉質突起があり、ひげのように見える。体色が成長と共に変化することと、雄性先ゆうせいせんじゅくせい転換てんかんを行うことが知られている。幼魚や未成熟魚では体色は黒色であるが、成魚になると体色が鮮やかな青色に変化し、鼻先から背鰭せびれが黄色になる。この時までは雄であるが、さらに成長すると雌となり体の大部分が黄色となる。ただし雌の観察例は少ない。また、腎臓じんぞうと生殖巣が肛門より後方にあるが、これは他の脊椎動物には見られない特徴である。海面から水深五十メートルほどまでの、浅海のサンゴ礁や岩礁に生息する。砂底にったあなか、岩の隙間すきまを巣にしており、顔だけを出して巣にもぐりこむ。通常は単独で生活するが、同じ巣穴に複数が同居することもある。食性は肉食性で、おもに小魚を捕食する。えさを捕食する際や敵を威嚇する際には巣穴から半身を乗り出すが、全身を出した状態が観察されることはほとんどない。 しかしながら、熟練ダイバーは、巣穴からでて、他の巣穴に移動する時の全身の姿をときどき観察している」

と、ハナヒゲウツボを釣った。

 そして、

「タイムアップじゃ!」

ついに制限時間を迎えた。

「今回の優勝者は、四匹釣ったケンタなのじゃ!」

「やったね!」

今回の釣り大会の優勝者は、ケンタ。

「これを受け取るのじゃ!」

「おめでとう!」

ケンタは、カメじいから金メダルを受け取ったのであった。

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