第71話 絶景!虹色の滝

 ヒビキたちは、名水の小道を抜けてにじいろたきにたどり着いた。

「滝は、日本においては、流水が急激に落下する場所で落差が五メートル以上で、常時水が流れているものとされているが、歴史的に有名な滝や地理上の好目標となる滝については例外もある。万葉集の頃のたきは今日で言う早瀬はやせを指し、垂水たるみが今日で言う滝をさしていた。一部の滝は、侵食しんしょくが速く、また川の流れが地殻ちかく変動へんどうで変わりやすい山岳さんがく地帯ちたいにおいて生じる。このような場所にある滝は、同じ場所を長年にわたって水が流れたことによってではなく、衝上しょうじょう断層だんそうや火山活動などの突然とつぜんの地質の変化によって形成される。それに対して、多くの滝は、長年に亘って流れる水によって形成される。典型的には、岩石の地層を横切って流れる水流があると、侵食に強い岩脈がんみゃく部分ぶぶんたなとして残るのに対し、その先の侵食に弱い地層部分がけずられて落ちる。結果、残った棚は落ちた部分に対して隆起りゅうきした状態になる。さらに月日が経過すると、棚のはし徐々じょじょに削られ滝は絶えず上流に移動していく。同時に多くの場合、侵食に強い棚に対し、その下の地層は弱い地層からなるため、棚の下の層が侵食され、滝の下では水のカーテンの後ろに洞窟状のくぼみが形成される。滝の上の水流は、堅い棚の上を流れるために流れは広くあさくなり、滝の直下は、落下によって勢いがついた水が地面を叩くためにみずまりができる。諸説しょせつあるが、日本国内で名前のついた滝は約二千五百- 約一万五千あるとされる。また、沢登さわのぼり等の紹介本等で掲載けいさいされている遡行図そこうずに示されるような無名滝は多数存在し、それらも合わせるとその数倍の数の滝が存在する。沢登りの遡行図ではこれらの無名滝はFナンバーと呼ばれる番号で識別され、下流から源頭部に向かってF1、F2、F3、・・・というように名付けられる。冬季に氷結し、巨大きょだいな氷柱となった滝を氷瀑ひょうばくという。なお、中部地方などでは滝をぜん、たきつぼかまと呼ぶ地域がある」

「虹がかかっている!」

「本当だ!」

せせらぎ川の上流である虹色の滝には、きれいな虹がかかっていた。

「虹は、えん弧状こじょうの光の帯であり、帯の中には様々な色の光のたばが並んでいるように見える。色の配列は決まっており、端は必ず赤とむらさきである。雨上がり、水しぶきをあげる滝、太陽を背にしてホースで水まきをした時などに見ることができる。なお、月の光でも虹は見られる」

「赤・オレンジ・黄色・緑・青・あいいろ・紫の順に並んでいる!」

「すごくきれいだわ!」

七色にかがやく虹に加え、

「水も青くわたっている!」

「まさに、絶景だ!」

きれいな水も加わり、ニュートピア随一ずいいつの絶景となっている。

 すると、

「水の中にもぐってみる?」

「そうだね」

ヒビキたちは、水中を調査してみる。

「あっ、見て!」

「これは…」

「フタバスズキリュウの化石だ!」

「フタバスズキリュウは、爬虫類はちゅうるい双弓類そうゆみるいプレシオサウルス上科エラスモサウルス科に属する。日本国内で化石が初めて発見された首長しゅちょうりゅうとして著名ちょめいである。発見から三十六年後の二〇〇六年にようやく新属新種として正式に記載された。模式標本は国立科学博物館に保管されており、化石のレプリカは福島県ふくしまのいわき市石炭・化石館などに展示されている」

フタバスズキリュウの化石がまっている場所を発見した。

「ちゅぴ!」

「ちゅる!」

「今すぐ博物館に伝えなきゃ!」

これには、博物館にも報告するようだ。

 そして、

「もうすぐ夜になる!」

「どんな景色が見られるのかな?」

「楽しみね」

夜になると、滝の水辺に小さなともしびが。

「これこそ、ホタルだ!」

「ホタルは、主に熱帯から温帯の多雨地域に分布し、世界にはおよそ二千種が生息しているとされる。幼虫時代を水中で過ごす水生ホタルと、陸上の湿地しっちで過ごす陸生ホタルがいる。日本でホタルといえば、本州以南の日本各地に分布し、五月から六月にかけて孵化ふかするゲンジボタル Luciola cruciata を指すことが多い。日本ではゲンジボタルが親しまれていて、これが全てのホタルの代表であるかのように考えられるが、実際には遥かに多様な種がある。国内には約四十種が知られており、世界的には熱帯を主な分布域とするだけに、本土より南西諸島により多くの種がある。さらに南に下った台湾たいわんでは約五十八種が生息しており、初夏にホタルを鑑賞かんしょうする観光行事も行われている。ゲンジボタルの成虫が初夏に発生するため、日本ではホタルは夏の風物詩ととらえられており、夜のほたるの発光を鑑賞する蛍狩ほたるがりが行われる。日本を含む東アジアにおいて、蛍の成虫は必ずしも夏だけに出現するものではない。例えば朝鮮ちょうせん半島はんとう、中国、対馬つしまに分布するアキマドボタル Pyrocoelia rufa は和名通りに秋に成虫が発生する。西表いりおもてじまで発見されたイリオモテボタル Rhagophthalmus ohbai は真冬に発光する」

それは、ホタルの群れだった。

「ここは、絶景が見られる場所だ」

ヒビキは、虹色の滝についてそう思うのであった。

 一方その頃、アラシも虹色の滝にいた。

「忠告しておく。ここの上には洞窟どうくつがあることを…」

アラシはこう言い残して、どこかへと去っていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る