第45話 川の主釣り

 ハミングタウンの住民たちからのうわさを聞いたヒビキたちは、町はずれの森へと向かう。

「ここに川の主がれるというのだが…」

「やってみないと分からない」

森を流れているせせらぎ川に行くと、そこにビバとチュースケがいた。

「川は、雨として落ちたり地下からいたりして地表に存在する水は、重力によってより低い場所へとたどって下っていく。それがつながって細い線状になったものが川である。河川かせんともいう。時期により水の流れない場合があるものもあるが、それもふくめて川と呼ばれる」

「うーん…」

「釣れないなぁ…」

ビバとチュースケも、川の主を狙っている。

「ちゅぴ!」

「引いてる!」

すると、ヒビキとチララの釣り竿ざおに当たりが出た。

「行けっ!」

勢い良く引いてみると、

「アユという魚だ!」

「アユは、成魚の全長は三十センチメートルに達するが、地域差や個体差があり、十センチメートルほどでせい成熟せいじゅくするものもいる。若魚は全身が灰緑色で背鰭せびれが黒、むなびれの後方に大きな黄色の楕円形斑だえんけいまだらが一つある。秋に性成熟すると橙色だいだいいろと黒の婚姻こんいんいろが発現する。体型やあぶらひれを持つなどの特徴とくちょうがサケ科に類似する。口は大きく目の下までけるが、くちびるやわらかい。は丸く、くしのような構造である。北海道・朝鮮ちょうせん半島はんとうからベトナム北部まで東アジア一帯に分布し、日本がその中心である。石についた藻類そうるいを食べるという習性から、そのような環境のある河川に生息し、長大な下流域をもつ大陸の大河川よりも、日本の川に適応した魚である。塩川しおがわが日本の分布北限である。遺伝的に日本産海産アユは南北二つの群に分けられる。中国では、河川環境の悪化でその数は減少しているが、二〇〇四年に長江下流域でも稚魚ちぎょが発見された報告があるなど、現在もおうりょっこうをはじめ、東部の各地に生息している。また、中国ではせっ(せっ)江省こうしょうなどで放流や養殖ようしょく実験じっけんが行われている。台湾たいわんでも中部の濁水渓だくすいけい以北いほくで生息していたが、現在は絶滅ぜつめつ危惧きぐされている」

アユが釣れた。

「すごい!」

「いいなあ!」

これには、空きかん長靴ながぐつといったゴミしか釣れないビバとチュースケも大喜び。

 そして、

「来ましたよ」

ミオの釣り竿にも、当たりが来た。

「えいっ!」

「これは、ブラックバスだ!」

「Micropterusすなわちブラックバスは、八種をようする遊泳ゆうえい捕食性ほしょくせい大型おおがた淡水魚たんすいぎょのグループである。成魚の体長は最も小型の種でおよそ四十センチメートル、最大型種フロリダバスは八十センチメートル以上に達する。体型は側偏した紡錘形ぼうすいけい、背鰭が第一、第二に分かれて発達し第一背鰭よりも第二背鰭は大きい。他の魚類や水生小型動物を捕食するのに適した大きな口とあごを持つ。唇の内側にはきょ歯状しじょうの細かくするどい歯が並ぶ。浮き袋は独立した臓器ぞうきではなく、腹腔ふくこう脊椎側せきついがわ内壁ないへきに一体化して備わっている。眼はやや頭頂部寄りに位置し、前方から上方にかけての視覚にすぐれる。これに側線で知覚される水の振動しんどう情報じょうほうを併せる用いることで、ブラックバスは捕食対象を定位する。下方〜後方の視野は持っていない。全種とも自然分布域は北米大陸である。内三種が日本国内で移入定着している。北米では五大湖周辺からミシシッピ川流域、メキシコ国境付近までの中部および東部、フロリダ半島などに広く分布し、十パーセント程度の汽水域でも生息可能である。河川や湖沼こしょうに生息し、獰猛どうもうな肉食性で他の魚類や水生節足動物、水面に落下した昆虫、カエル等を捕食する。捕食に視覚を多用するため、活動時間は主に日中であるが、朝と夕方に特に活発となる。夜間は水底で静止したままとなる。温帯魚であるため冬期の低水温で斃死へいしすることは無く、深場で冬眠状態となるが比較的水温ひかくてきすいおんの高い日には冬でも捕食活動をすることがある。春〜夏にかけて、砂礫質されきしつの水底にすり鉢状ばちじょうの巣を作り産卵さんらんする。たまごと稚魚はオスが保護ほごし外敵から防衛する」

と、ブラックバスを釣ることに成功した。

 これを博物館に持ってくると、

「ブラックバス。それこそ、せせらぎ川の主なのです!」

シーバが、ブラックバスがせせらぎ川の主だと明かした。

「ちなみに、アイスソーダ島の主は、サメだ!」

「その通りです!」

サメも、すでに展示されている。

「ありがとうございます!では、そちらで管理いたします」

ブラックバスも、展示されることが決まったのであった。

 一方その頃、アラシは町はずれの森にいた。

「忠告しておく。ここは未開の地があることを…」

アラシはこう言い残して、どこかへと去っていった。

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