第7話:ノーモア野盗
「おう、防衛大臣さん。領海の索敵はどんな感じだ?」
「……領海? ……いまやってる」
「なんかいた?」
「だから、いま……」
「気配はありますか?」
「………うん、いまやってるから」
風が木々を撫でる感触。
草花を抜ける感触。
それら全てが脳を駆ける。
魔力感知による索敵ならば本来は春香が適役だけど、大陸も東側ともなれば。
強者は魔力を
気取られぬように動く。
エイプ・リールの例のように、魔物も例外ではなく。
故に、魔力感知にだけ頼るのは愚策。
物理、魔術を併用して幾重にも万全と索敵し、目視による最終確認をしてようやく
「……………」
僕が今やっているのは、風属性の応用。
自身の魔力を乗せた風を四方へ送り。
範囲内ギリギリまで生命探知を行う。
魔力感知に長けた者なら、当然風が届く前に何らかの魔術攻撃や結界と考えて飛び退るだろうけど。
それはそれで、近付けさせない事が出来るし。
向こうが反射的に魔術を使えば、僕達も感知が可能。
ここ迄の距離となると。
流石に攻撃なんかは難しいけど、そよ風程の操作なら可能だから、こうして風の結界として使わせてもらってるけど。
僕自身は、魔力量が少ないのが難点で。
あまり多用は出来ないね。
一回一回オンオフを切り替え、ようやく一息つく。
「―――ん、ここら辺は大丈夫そう。もうちょっと進んでみようか。12時の方角、前進」
「らじゃ。12時の方角、前進」
「何で一々それなん?」
「「格好良いから」」
「本当に、男の子ですね……」
「美緒ちゃん? 本当にそれで良いの? 分かり良すぎない? 大和撫子? ねェ?」
何時の方角とか。
分かりやすくて格好良い言葉の代表だからね。
後ろから聞こえる誰かの溜息を軽く流し。
前衛の康太と並び意気揚々と進みつつ。
僕は、改めて今回の依頼についてを思い出していた。
今回の依頼は、大陸各部から中央へ向けて引かれている街道の調査。
そして、野盗の討伐……可能なら捕縛。
残念な事に、この世界で人の行方が分からなくなるのは珍しい話じゃない。
それが社会的階級の低い人なら猶更で。
更に更に、街道を通る行商なら、金目の物目当てに更に狙われる率も高まる。
……しかし、ここ最近。
セキドウを含めた中央寄りの国では、その傾向……失踪が余りに顕著だという。
そして、それと同時に。
コーディが話してくれたのは、医療用品の素材を運ぶ商人さんの被害が増えているかつ、都市への搬入後も窃盗の被害が増えているとの事。
前者は都市単位での調べだけど。
後者が発覚したのは。
半数以上の行商出入国を管理しているロウェナさんの傘下が、書類の異常に気付いたかららしく。
都市やギルドと共同で調査を行い。
やはり採算がおかしいという事で。
各都市で冒険者や企業傭兵を雇って調査を行ったけど。
どうにも、無関係な罪人ばかりが捕まる現状。
これは、内部にも何かを画策して妨害、調査区域の情報を流している者がいるのだろうという事で。
急務かつ誰が信用できるか分からない今回、ロウェナさんが独断で臨時調査部を設立。
ギルドの一部も協力して。
実働の一つとして、僕等も一端を請け負っているのが現状。
大商会幹部から、直々の指名依頼という訳だ。
……………。
……………。
まぁ……要するに。
ギルド総本部……そのお膝元で犯罪行為が多発している訳で。
「ギルドの
未だ水面下の混乱が起きているだけだけど、上層部は重く受け止めているとの事だ。
それ自体は、普通に良い事だけどね。
「一番過敏に反応しているのは本部の理事さん達なんですよね」
「カレンさんが愚痴ってたな」
「早く解決しろーーって? 自分でやったらどないです?」
「じゃあ、春香がソレ言ってきなよ。偉い人に」
「……康太君」
「ムリムリですな」
「というか、あっちもあっちで被害者だし。本当に悪い人に文句言おうよ。裁くのはやって貰えば良いし」
この世界の法整備は思ったより進んでいて。
税関みたく、行商人の入国と商売の管理は基本として。
価格の調整も当然。
大手では、独占禁止法のように、一つの商会が特出しないように商品の大まかな価格帯は決まっている。
これは、ギルドも関わっていて。
大元を管理し、無理な競合を避けられるようにしているんだ。
本当に極端な、もしもの話だけど。
異世界に好き勝手行き来できる現代日本人がセキドウで破格の商売をしようものなら。
向こうの商品を滅茶苦茶な安値で転売とかしようものなら、普通に罪に問われて、捕まったりもする。
どの世界でも自国の保護、法と律は当たり前なんだね。
けど、今回は。
それがあるからこそ、全体的にインフレ……医療品の値段が一律に上がっていて。
今はまだ水面下だけど。
何処も商売あがったり。
客足はどんどん離れるのに、いずれは更に回復薬の価格が跳ね上がり。
冒険者もおいそれと手が出せなくなり、死傷者が膨れ上がる。
社会的弱者に至っては。
もう、生活がままならず、モノも碌に買えず、奴隷に身を落とすしかないという話にもなるかもしれなくて。
……かなり酷な事になる。
この世界のそれらは、奴隷と言っても、所有者が好き勝手出来るような物じゃない。
国それぞれに差はあれど、一定の人権はある。
あくまで、召使いの延長なんだ。
……けど、バレないなら何をしても良いと考える人もいて。
「ギルドと都市では薬品の不足、周辺地域も失踪事件の多発。奴隷商会は、奴隷の失踪が相次いで……」
「結構やばいよな、コレ」
「全部同時だもんね」
「いなくなった人たちは何処へ? ……全部、疑問です」
「「……………」」
考えたくもない話だ。
今の僕達なら、想像しようと思えばいくらでも悪い方向へ考えられるからね。
「裏で何かが動いているというのなら……心当たりは」
「「……………」」
「あるかもね、色々。その辺は、後で先生とかカレンさんに聞けば良いかな」
陰謀だとか、悪寒だとか、心当たりには事欠かないけど。
先生も別行動で調査に当たっている。
向こうの心配はしなくて良いだろう。
逆に、こっちも。
僕たちに出来得る限り、万全の対策を講じて依頼に望んでいるし、問題はない。
「危ない時はすぐに駆け付けられる――とか。いつも言ってるけど、実際どうなんだろうねぇ?」
「GPSあるし、本当じゃないかな」
「アレ、いる?」
「いや、街中でいきなり世界に十人も居ないS級冒険者に襲われないとも限らんだろ?」
「もう宝くじの確率じゃん、それ」
「………位置情報……微妙な所ですね」
……うん。
問題ないよね……?
仲間達が余りにのほほんと平静すぎて。
いつも通りといえばそうだけど。
緊張感なさ過ぎて、ちょっと心配に―――っと。
「―――ん……ヒット。二時の方向、団体で人が……結構いるね。軽く十以上いるけど……美緒?」
「いえ、情報なしです」
「「はやっ」」
すぐに答えを返してくれる美緒。
その手に握られている書類は、ロウェナ商会所属の商人が用いている交通ルートと、大まかな通行時間についての予定。
バスの
本来は、機密情報……当然に持ち出し厳禁だけど。
今回は直接依頼を受けている身だから、その一助として借りれたわけで。
この時間帯に通る馬車は無し、と。
それ、確認の必要がありそうだね。
「当然、冒険者や無所属の商人さんの可能性もありますけど……十人以上。しかも、この道は……」
「迂回ルートだ」
「……よく分からんが。んじゃ、確認行きますかーー」
「何が出るかな、何が出るかな」
平坦な道ながら、林と隣接する立地。
どうやら、皆は悪い人達とのランダムエンカウントを期待しているようで。
……曰く、タダで素材を置いて行ってくれる優しい人達とか。
暇潰しの標的だとか。
小説や漫画などでは散々に言われ、扱われている
窃盗、略奪は当たり前。
暴行、誘拐、殺人、放火……人の欲望で固めたような身体で。
一般の人々からすれば、悪夢のように酷い存在だ。
更に酷い話として。
これは先生に聞いた事だけど。
……貴族との癒着という例もある。
この世界には、貴族が行うフェイデーという儀式があって。
所謂、決闘制度だけど。
然るべき場所、時間をしたためた書状を相手に送り、万全の態勢で雌雄をつける。
この本来公正な目的で作られた制度を悪用し、濫用したものが居た。
手順は簡単で。
難癖を付けて領地を通る商人をなどを襲う。
後は事後報告で書状を送り、公正な決闘だったと言い触らす。
救えない事に、貴族は幾らでも替えの利く私兵として、彼等を雇ったりもした。
そう、盗賊行為を本当に正当化したんだ。
勝てば官軍。
国が認めれば
……当然、そんな話が国家単位でいつまでも許される訳もなく、これ等を行っていた貴族家は取り潰し。
法は改正されたけど。
本当に、上から下まで。
高貴だろうとそうで無かろうと、それだけで善悪が判断される訳じゃない。
権威があろうと下衆はいるし。
貧しくても清らかな人はいる。
正しい人を護れるように。
そういう悪行を絶対に許してはならない。
彼等が二度と、悪い事を出来ないように。
「………あ?」
「「どうも」」
「―――なっ……!? どっから現れやがった!」
林に忍ぶ盗賊の更に背後へ忍び寄り。
僕達が、徹底的に潰す。
反応のあった場所へ向かうと、そこには確かに大人数の寄り合いが居た。
木々に溶け込むような服。
簡易的な迷彩だ。
何か……恐らく馬や服へ引っ掛けるような
数は、十数人にものぼり。
確かに、襲撃には充分だ。
丁度、これから商売に出かけようとしてたのかな。
ここを誰かが通る予定はない筈だけど。
抜き身の賊刀とか、棍棒、弓矢なんかを持っている彼等は、鉢合わせした僕たちを見て固まる。
「あ、冒険者っす。この辺で
「見なかったです? 鏡とか」
決めてかかるのは良くないからと。
康太と春香が尋ねているけど。
彼等もまた、手慣れているのか。
目を細め、周辺に僕たちの仲間がいないかを確認するように視線を配すと、一斉に武器を構える。
「これは、都市への客じゃなくて、悪質クレーマーかな? 店員さん、お冷を。雲水竜の水抜きで」
「かしこまっ!」
冗談めかした康太の言葉。
そして、ノリノリな春香の応対。
白刃が空を切る。
少女の放った短剣は迷いなく盗賊の前衛へと向かう―――が。
「なめんじゃねェ、ガキどもが!」
「分からせてやる!」
「裸で泣いて謝っても許さねぇかんな!」
前衛の背後から突き出されるようにして広がったのは、茶色の壁。
折り畳み式の、木の盾だ……。
主に、対人や対小型に有効な装備。
かつて康太がやったように、相手の武器を敢えて受け。
そのまま、あわよくば攻撃手段を奪う事も出来る原始的ながらトリッキーな武器だ。
……鉤の付いた槍もそうだけど。
質の良さそうな弓や、本人たちの士気も。
随分装備が豊富で。
経験に裏打ちされた自信を持っているみたいだけど……うん。
動きは、明らかに素人だ。
「ほほいの―――ほいっ!!」
正面からがダメならばと。
木々を反射し、透明な
「―――ァが!?」
「―――イデェ―――ヶ!?」
側面、背面……盾を移動する間もなく打たれる身体。
春香のナイフは、本人みたいによく跳ねるんだ。
「ナイス跳弾」
「跳剣ですね」
「いや、飛空剣って呼んでくんない?」
「……シヌ……ァァ」
「血が……血がぁ―――ぁ? ……出てない……?」
血が出ないのは当然だろう。
春香のナイフに刃は無いし。
「死なないから、大丈夫だよー」
「内出血は当然、骨くらいは折れてるかもしれませんけど―――ねっ」
春香の持つ投擲用の短剣は、主に非殺傷を主とした武器。
本当にどうしようもない相手の時は、水で刃を作るのが彼女のスタイルだ。
そして、次瞬には美緒が。
向こうの出方を伺っていた彼女も、春香の後方から斬と飛び出し。
「うおおおぉぉぉぉぉ―――ぅっ!?」
「うそだろ!?」
一撃目で、豆腐のように木の盾を両断。
二撃目、逆刃で無力化。
分散し始める盗賊たち。
それに合わせ、僕と康太も前に出て、一人も逃がさないように刃を振るう。
「ビビるなっ!! ガキの冒険者なんざぁ、一人でも味方が倒れりゃ、すぐに動けなくなるような連中だ……ッ!」
「そ、そうだっ」
「女を狙―――くそっ、てめェェ! よくも俺の自慢の槍を! お前からだぁ!」
「え? 何で? というか、大した槍じゃ――」
「おう、短小だな」
「うっせーー!!」
今の流れだと、まるで僕が女みたいじゃん。
喋ってる最中に槍を折ったのは悪かったけどさ。
康太の言葉で。
何故か更なる怒気を放ち、持ち手しかなくなった槍を捨て。
慣れた動きで間合いを詰めてきた盗賊。
その腕に握られていた短剣。
「グゲェ!? ――ブェェッ!?」
単調な一撃を躱し。
この距離ならばと、腹部に前蹴り。
仰け反った相手の胴へ。
ガラ空きの腹部へ、鉄の塊が持つ重い一撃をプレゼント。
……手慣れてはいるけど、やはり……あんまり強くない。
というか弱い。
冒険者なら、E級くらい?
豊富な武器によって何とか食い下がるも、続々と打倒されていく彼等はしかし。
確かな余裕が存在する。
仲間を幾人も
「―――死ねェェェ! クソガキどもがァァァァァ!!」
引き絞られ、放たれる。
やはり、なんらかの機を伺っていたらしく。
死角から正確に放たれた矢。
それは、先の春香の跳剣にも「匹敵する」程の速度で康太へと吸い込まれ……。
「「―――は?」」
「………あーーっと、何か……ゴメン?」
弓を引いた盗賊さんの力が弱かったわけじゃない。
それは確かなんだけど。
何と、康太は。
自身に向けて放たれた矢を、眼前でむんずと掴んで止めてしまった。
「おおぅ、さっすが。もう、スーパーヒーロ狙えるんじゃない? 康太君」
「いや、なぁ? リディアさんのヤツと比べたら――比べちゃいけないヤツだけど……おっそい」
「掴むのはダメですよ、康太君。鏃が毒の可能性もあります」
「……おっと、そうだった」
そもそも、春香のは手投げで。
手加減だってしているから。
それが、あらん限りに引き絞った矢の速度と同等って方がおかしいんだよね。
止まって見えたは言い過ぎだけど。
飛来する矢を目視して回避する事が出来る位には、僕達も怪物化している。
流石に、腕力の問題とかあるから。
掴めるのなんて康太くらいだけど。
「………く……くそっ」
「これは、ヤバいんじゃねぇのか……」
起死回生の不意打ちも失敗。
康太の
盛り上がるでもなく、目に見えて及び腰、
とはいえ。
まだ人数的には有利だからか、損切りも出来ず。
逃げるにも至れない彼等。
浮足立ち、震える手元。
弓や暗器を持つ手が、震え続ける。
「もう、やっちまえ! 撃てェ!」
「このっ」
「お、おい! 止めろ!! 今やったところで―――」
本来の作戦としては、僕たちの一人をさっきの攻撃で射抜き。
隙が出来た所で、矢や短剣を雨と放とうとしたんだろうけど。
畳みかけることも、まともな思考も出来ず。
リーダー格の声も届かない彼等は、
「―――“風切羽” 三列風切」
当然、それを許すはずもなく。
飛び道具の雨に合わせ、得意魔術を点ではなく面で展開。
三層の風壁によって暗器は弾かれ、飛んできた矢の柄はみじん切りになって落ちる。
ゲオルグさんなら、魔術なしでも火炎放射を扇いで吹き消せるし。
上を知ろうと思い見上げれば、何時でも精進する足掛かりを得ることが出来るんだ。
この位じゃ、まだまだ満足できないね。
「……ぅ……そ、だろ……?」
「だと良いんですけどね。同じくみじん切りに成りたい人がいれば、実演も承ってますけど?」
「「―――ッ」」
「んじゃ、俺はプレスで」
「スライスーー」
「ハンバーガーでも作るんですかね」
もう、大勢は決していて。
いつものノリで笑う三人と呼吸を合わせ、僕達は一斉に盗賊たちへ襲い掛かる事になった。
……………。
……………。
彼等の実力は、完全に装備にモノを言わせた物量頼みだったけど。
実際、実力を考えれば。
少しでも食い下がれた装備の質自体は、かなり良いと感じて。
状態の良さから盗品でもなさそうだし。
これ、情報の手掛かりになるかな。
「72通りの宴会芸が一つ、捕縄術……ってな。うしっ! ま、コレで野盗さん達も倒産だし、陸の実演販売も効果なしだし。ビジネスって大変なんだなー」
「本当にねェー」
「絶対に成功して欲しくない人たちですね」
昏倒させた野盗達を、例の如く彼ら自身の装備で縛り上げておくけど。
皮肉の声色から察するに。
どうやら、三人は静かに怒っているようだ。
まぁ、当然だよね。
こういう人達を好きになれって方が無理な話だし。
「―――そういや、陸」
「うん?」
「さっき、何で狂飆とか使わなかったんだ? 風で吹き飛ばせば良かったろ?」
あぁ、矢の雨を受けた時の事ね。
上位魔術“
一瞬にして暴風を発生させる強力な魔術で。
かっこよさ優先なら迷わずそうだろうけど。
それは、気になっていたもう一つの情報による考えで。
僕は、すぐそこに落ちていた矢を一本を拾い上げる。
「見た感じで分かるけど。盗賊の使ってたやつ、かなり矢の質が良いんだ。それに―――コレ」
「……あ、刻印……!?」
「……気付きませんでした」
「僕も、さっき康太が掴んだ時に見えたんだけどね」
戦いにおいて、地形や相手、武器をつぶさに観察する必要は、ある。
当然に、結果に大きく影響するからだ。
そういう意味では、刻印魔術の効果というのは本当に多種多様で。
矢の場合は、ブレを軽減する刻印。
果てには、風の影響を極限まで軽減する刻印まで存在しているから。
魔力を送らなきゃ作動しないし。
上位の魔術程その傾向は顕著。
莫大な魔力を要求されるから、そうそう扱い切れる物でもないけど。
何であれ、下手に扱わない方が良いのは確かで。
「もし風の効果を受け付けない刻印だったとして、僕が風で吹き飛ばそうとするでしょ? ……ヘッジウルフのコスプレ……したい?」
「「いーーやーー」」
慢心して風だけで吹き飛ばそうとすれば。
それを素通りした矢に全身を貫かれて即死……なんて格好悪い状況にもなりかねない。
勿論、そんな事になったら回避行動はとるけど。
格好良さよりも命だ。
「――では、刻印も。検査してもらうために、出来るだけ彼等の装備も持ち帰ってみますか」
「そうだね。何の効果が入れられてるのか気になるし、一応……」
……………。
……………?
「―――ねぇ、皆」
「「ん?」」
「どうかしましたか?」
「……ぁ……ううん。やっぱり、気の所為」
言いかけて、その間に消えてしまうような。
本当に、些細な感覚の違和感。
偶々、いま展開した索敵の起点の一つに、水滴がおちたような些細な波紋を感じただけ。
本当に、僅かな。
気にするかも微妙なラインの乱れだけど……。
―――もしかして、いま……誰かに見られてた?
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