第13話

「そうしましょう」

とりあえず三人で食糧庫を探した後、玄関ホールに出た。

すると扉が閉まっていた。

「あれっ、さっき開いていたんだが」

「えっ、なにが?」

「どういうことですか?」

俺は二人に食堂に来るときに、この扉が開いていたことを説明した。

「私が通ったときには閉まっていましたけどね」

「私もです」

ノーレッジがなにか考えて言った。

「私と社畜さんはほぼ同じ時間に食堂に来ました。そしてポンチさんは五分ほど後ですよね。その間にこのでかい扉が開いたのでは」

「そして今は閉まっている」

俺は言った。

「じゃあだれが何のために開けてそして閉めたんですかね。アンノウンさんがそんなことをする理由が思い当たらないし。だいたい一人でこんな扉、開けれそうにないですし。しかもアンノウンさん、約束の時間に来てない」

ノーレッジが言った。

「扉も気にはなりますが、とりあえずアンノウンさんを探しましょう」

三人で屋敷の内外、探せるところは全部探したが、アンノウンはどこにもいなかった。

三人は無言で再び食堂に集まった。

そのまま黙っていると、ノーレッジが言った。

「それじゃあ、明日同じ時間に」

そして解散となった。

三人とも静かにその場を去った。

もはやなにがなんだかわからない。


その次の日はなにもなかった。

そしてその翌日、俺が食堂に行くと、まだ誰も来ていなかった。

――少し早かったか。

待っているとノーレッジが来た。

「おはよう」

「おはよう」

二人して社畜を待った。

しかしいくら待っても社畜は来なかった。

「ノーレッジさん」

「ええ」

二人して社畜を探した。

それはいつも以上といってよかったが、社畜の姿はどこにもなかった。

「……」

「……」

俺はなにも言わなかった。

何か言うと、恐ろしいことを言い出しそうだったからだ。

ノーレッジも何も無言のままだ。

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