異世界転生6周した僕にダンジョン攻略は生ぬるい ~異世界で千のスキルをマスターした男、もう疲れたので現代でお金貯めて隠居したい~
第495話 【最終決戦その4】ガチギレ莉子さんVS無自覚煽り上手なアリナさん ~戦いが始まる前なのに異世界がヤバい~
第495話 【最終決戦その4】ガチギレ莉子さんVS無自覚煽り上手なアリナさん ~戦いが始まる前なのに異世界がヤバい~
こちらは日本探索員協会本部。オペレーター室。
逆神六駆とバニング・ミンガイルの血戦を見守っていた一同は、皆言葉を失っていた。
まさに異次元の戦いであり、芸術のようにも見えた一瞬の攻防に何と感想を述べたら良いのか分かる者は少ない。
「山根! 福田!! 貴様たち2名で、国協のハッキングを叩き切れ!! 逆神の実力を今さら隠す意図はない!! だが!!」
山根健斗オペレーターと福田弘道オペレーターが端末操作を開始しながら応じた。
「うっす! 自分、基本的に戦いには興味ないっすけど! 今の逆神くんには痺れたっす!! こんなもん、国協の年寄りに見せるのはもったいなっすよね!!」
「私も同意見です。見る者に価値が分からなければ、どんなに優れた美術も穢れてしまいます。論理的ではありませんが、心情としてそれを避けたいと私は思います」
「……ふふっ。貴様たちにも届いたか。あの2人の戦いを穢す者を許してはならん。何なら、適当に罵倒してやれ!!」
山根の瞳が輝いた。
彼は「よっしゃ! 任せてくださいっす!!」と言って、凄まじい速度で英文を端末に叩き込む。
通信回線を遮断する作業も並行してこなしているのだから、この男のオペレーターとしての技量も結構な勢いで反則レベルである。
「できたっす!! くたばれ、くそジジイども!! てめぇらにはお互いのケツの穴でも舐めてるのがお似合いだ!! ドブくせぇ人生をとっとと終えやがれ!! 地球の資源の無駄以外のなにものでもない!! この雑菌にも劣るクズどもへ!! 日本探索員協会、筆頭監察官! 南雲修一より!! 愛を込めて!! フ〇ック!!!」
山根健斗オペレーター、会心の力作を送り付ける。
「福田さん! オッケーっす!!」
「かしこまりました! それでは、全ての回線をブロックします!!」
こうして、国協に対する情報漏洩は食い止められる。
発覚した時点で既に主だった情報は抜き取られていたので、今更な抵抗の感は否めない。
だが、戦士の魂はこれで守られた。
「南雲さん、元気出すにゃー。……あたしのおっぱい揉むかにゃー?」
「や、やーまーねぇー……。なんかカッコいい事やってるなって感心してたのに……。なんで最後に私の署名入れてしまうん? なんかもう、逆神くんよりも私の罪の方が大きくなった気がするんだけど……」
五楼京華が肩を落とす南雲の元へと歩いて来た。
続けて「椎名。私が変わろう」と言って、南雲に寄りそう。
「南雲。貴様がどのような立場になろうとも、私が寄り添おう。なに、心配するな。大したことではない。ただの愚痴みたいなものだ」
「ほ、本当ですか? 国協の理事に盾突いて行方不明になった色んな国の幹部の話を私、聞いたことがありますけど? あれ、都市伝説なんですね?」
「……南雲。おっぱい、揉むか?」
「ああああああああああっ!!! 五楼さんが椎名くんと同じレベルの事言ってるぅぅぅぅ!! ダメなヤツだ、これぇぇぇぇ!! くそぅ! この作戦が終わったら結婚するとか言うんじゃなかった!! 古き良き死亡フラグってすごいなぁ!! くそぅ!!」
泣き崩れる南雲。
その背中をさすりながら、五楼京華は顔を真っ赤に染めていた。
「わ、私は……!! 結婚するのか……!?」と、プロポーズの予告を不意に喰らった彼女の心中でも冷静さが有給休暇を取得した模様。
定期的に言っておかないと諸君も忘れてしまいそうだが、現在クライマックスの真っただ中である。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ヴァルガラでは、バニングの治療を懸命にこなす六駆を見て、アリナ・クロイツェルが呆気に取られていた。
彼女は彼の行動を理解できなかったため、近くにいた莉子に質問する。
「そなた。莉子と申したか。あの者は何をしておる?」
「ほえ? 決まってるじゃないですか! バニングさんを助けてるんですよぉ!!」
「何故だ? バニングは治療しても死ぬ確率が高いだろう。何より、もうあやつは高齢だ。治療が叶ったとしても、20年もすれば死ぬぞ?」
今度はアリナが何を言っているのか、莉子が理解できなくなる。
「えっ、ええっ!? それはそうですけど! 少しでも長生きしてほしいじゃないですかぁ!! あなたにとって、バニングさんは大事な人じゃないんですか!?」
「大事な男だ。今の人生においては、最も得難き男でもある」
「だったら!!」
「だが、目的を果たして死に場所まで用意された上で、それを冒涜するのは他者のエゴではないか? 美しく、区切りよく、憂いなく逝けるのだぞ?」
莉子はアリナの抱えている問題をまだ知らない。
ゆえに、彼女の特異とも言える死生観の理解もできない。
だが、「誰かを愛している」と言う共通項を見つけてしまった以上、この乙女も黙ってはいられない。
「アリナさん!! あなたはなんだかひねくれてます!! なんでもっと素直に好きな人を好きになってあげられないんですかぁ!?」
「妾にはできぬ事だ。莉子。そなたの好いておる逆神も死ぬぞ? 妾がこれから殺してしまう。これもまた、そなたには止められんし、止める権利もない」
お互いの立場やここに至るまでの経緯を知っている者ならば、どちらの言い分にも理解を示せるだろう。
だが、莉子さんにとって「六駆を殺しちゃうぞ」は禁句の中でも禁句。
それなら「やーい。お前のおっぱいえぐれてるー!!」と言った方がまだマシである。
小坂莉子さん、彼女も初めてのガチギレをする時がやって来た。
「もぉぉぉぉ!! 怒りましたぁ!! 六駆くんがあんなに頑張ってるのにぃ!! その邪魔をするどころか、こ、ころ、殺すなんてぇ!! 絶対にさせないんだからぁぁぁ!!!」
この瞬間、莉子さんの
それは先ほどの戦いの際に見せた、バニングのそれよりも、さらに六駆よりも凄まじい高まりを見せ、アリナは目を丸くする。
続けて、屈託のない表情で笑う。
「あはははっ! なんだ、なんだ!! 莉子!! そなた、とんでもない才能を隠しておったなぁ!! なんだそのでたらめな
「し、失礼ですよ!! わたし、人間だもん!! 女子高生です!!」
「……待て。妾の記憶が確かならば、日本の高校生とは15歳以上の者が通う場所であろう? そなた、10歳そこそこではないのか?」
「ど、どーゆうことですかぁ!!」
「……ああ。すまぬ。東洋人は小柄で幼い体つきをしておるものであったな。これは、妾の認識不足であった」
「……ど、どどどど、どこ見て言ってるんですかぁ!?」
アリナの視線が明らかに自分の胸に向いている事に気付いた莉子さん。
さらに
ヴァルガラにあった休火山がそれに反応して噴火を始めた。
六駆くんを貶されたよりも、貧乳ディスられた時の方が
「これは……!! 素晴らしい!! 素晴らしいぞ!! 莉子!! その幼さでよくもまあ! これほどの力を身に付けた!!」
「おさなっ!? ぐぬぬぬぬっ!! わたし、本気で怒りましたからねっ!! 怪我しても知りませんから!! あと、アリナさんより、うちのクララ先輩の方がおっぱい大きいですからぁぁぁ!!!」
その時、オペレーター室にいた椎名クララに悪寒が走ったと言う。
「な、なんだか、あたし……。ものっすごい命の危機を感じるにゃー!!」とどら猫の野生が目覚めた瞬間だったが、特にどうでも良い覚醒なので割愛する。
極大スキルで人命救助中の六駆に久坂が控え目な質問をした。
「のぉ。六駆の。莉子の嬢ちゃん放たっちょいてええんか? これ、下手すると異世界そのものがまずいレベルじゃぞ」
「まあ、いざとなったら転移座標がありますから! 本部から救援が来るんじゃないですか? 五楼さんとか、南雲さんとか!!」
サーベイランスを通して六駆の発言を耳にした南雲と五楼は、同時に思った。
「この作戦で生き残れたら、結婚しよう」と。
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