第538話 そのヤバさが分かるかと
「まあそう言うな。 ここは未知の土地であるから考え無しに単独で突っ走って行く様な軽率な行動又は仲間の士気が下がる様な発言は控えろ。 楠瀬もただ周囲を見渡しているわけじゃない事くらいお前でも理解しているのだろう?」
「わ、分かった……分かりました」
個人で動いているのではなく集団で動いている為に東一人の軽率な行動一つでメンバー全員を危険に晒してしまう様な事はあってはならない為軽く殺気を飛ばし東に注意をする。
俺の言葉を理解したのか殺気に当てられ渋々従ったのか、又はその両方なのかは分からないのだが東から了承の言葉を貰う。
その時タメ口から敬語に変わるのだがどうせコイツの事だ。
三歩も歩けばタメ口に戻っているだろう。
一緒に注意された事は忘れないのだから計算してやってるんじゃないのかと常に思うのだが一緒に忘れられるよりマシな為そこは触れないでおく。
「それにしても、魔族が潜んでいる可能性が高いと言うのにここの住民達は皆生き生きしている時言いますか危機感のカケラも感じませんわね」
「平和ボケと言う言葉がよく似合う光景ですね」
そんな中、久保小百合が自慢の金髪ロールを弄りながらこの国の人々を見て思った事を口にすると中村杏が同意する。
この二人は太陽と月の女神と言われても信じてしまえる程の美貌の持ち主である。
その美貌は異世界でも通用するのかすれ違う人々はこちらの世界と同じ様な反応をしているのが見える。
「そこの御仁達、少しお伺いしてもよろしいですかな」
最早物見遊山とかし始めていた我々一行へ、燕尾服を着こなした執事然とした初老の男性が声を掛けて来る。
そして、その執事然とした初老の男性を見た我々一行に緊張感が走り、空気がピリつき始める。
「高島さん……コイツヤバそう……いや、ヤバイですぅ……私の看破が通用しないと言えばそのヤバさが分かるかとぉ」
そんな中楠瀬綾がそっと耳打ちして来るその声は少し恐怖に染まっている様に感じた。
看破が通用しないと言うことは楠瀬より強者又はスキル隠蔽能力、もしくはその両方が長けていると言う事である。
そして目の前に突如として現れた初老の男性であるが注意すべき所は一人で我々の前に現れたと言う事である。
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