第520話 自分の性別に違和感
「それがいたんだよ。このアタイより強い雄が。しかも手加減までされていたなんてもう今思い出してもアタイがダーリンに敗北する瞬間は下半身が濡れて来ちゃうね」
「も、もし本当だとしてもどうせゴリラみたいな男でしょっ! た、確かにあんたにはオークみたいな男性がお似合いでしょうねっ!」
「あ、これ一応アタイのダーリン」
そして尚も噛み付いてくるカミーラにラースは今日一番の笑みを浮かべると懐から一枚の紙切れをそれはそれは大事そうに懐から取り出してくる。
その普段ガサツかつ何でもかんでも乱暴に扱うラースが見せる『物を大切に扱う』という絶対しないであろう行動にカミーラは怪訝な表情をするも見てくれと言わんばかりにラースが件の紙切れを見せようとする。
ラースがダーリンと言いながら見せて来た紙切れみはそれはそれは美しい中性的な男性が写っていた。
そしてその姿は魔族、しかもヴァンパイアの姿をしているではないか。
気がつけばカミーラはラースの両肩をがっしりと量の手で掴んでいた。
この一連の流れをブラッド・デイモンは王国内王宮の地下からマジックアイテムである遠くの光景を映し出す水晶で眺め、作戦が上手く行ったことに安堵の溜息をつく。
これでカミーラは自分ではなくクロ・フリートへとターゲットを変えるであろう。
もともとデイモンは自分の性別に違和感を持っており、そのコンプレックスから美女を収集するようになったのである。
もしデイモンが男性として正常な感性を持っていれば美女を目の前に人形にして愛でるだけの存在などしなかったであろう。
なにはともあれ今回の作戦、王国周辺でダンジョンによる魔物の氾濫を意図的に起こす→王国の七色が出てくるも対処はまず無理であろう→それに気付いたコンラッドがクロフリートの家臣を呼ぶ→そのうち王国周辺の異変と血の匂いに気づいたカミーラがデイモンを捕える絶好のチャンスと見てやってくる→家臣はカミーラには勝てないとクロ・フリートを呼ぶ→カミーラを簡単に倒す→その際カミーラはクロ・フリートをヴァンパイアと気付きカミーラのターゲットはデイモンからクロ・フリートに移動する。
少し当初の作戦と違った点、クロ・フリートではなくラース・ランドールが来てしまうなど、予想外すぎたが終わりよければ全て良しと言って良いだろう。
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