第518話そう思うと納得がいく
人間であるベッテン達が勝てる可能性など皆無であろう。
しかし、ベッテンたちはあのデイモンを赤子の様に叩き潰したクロフリートの家臣達から教えを乞うている存在である。
更に先ほどまでの想像を絶する強さを見た後ではもしかすればという思いが少なからずあったが故に逃げろではなく気をつけろという発言である。
「そうかとは思ってたっすけどやっぱりあの吸血鬼カミーラっすか。じゃあ今の私じゃ逆立ちしても勝てないっすねー」
そんな俺の言葉をベッテンは緊張感の欠片もない声音で返して来る。
その普段通りの声音と言葉の内容に差がありすぎて一瞬聞き直しそうになるのを寸前のところで何とか耐える。
今の彼女達には無理でもカミーラに勝てるような何かしらの策は、あるのではないのか。
だからこそのあの緊張感の欠片もない普段通りの声音だったのではないか。
そう思うと納得がいく。
「でも君たちでも勝てるような対策はあるのだろう? 例えは我々が想像すらできないような武器をクロ・フリートから貸していただいているとか」
「いんや、私たちがあのカミーラに勝てるための対策とかは何もないっすよ?」
しかしベッテンは相変わらず緊張感の欠片もない声音で策などは何もなく自分たちであのカミーラに勝てる方法は無いと言い切る。
だったら何故? そう言おうとしたその時いつの間にかカミーラが闇夜ですら輝く銀髪をなびかせながらベッテンの背後に現れ自身の武器であるバラの装飾が施された見事な大剣を振り上げている姿が目に入った。
「あら、ウチの玩具のくせに下等生物の相手をせんといてや。玩具としての自覚が無いがやったらごめんやけんどそんな玩具いらんき死んでもらうきね」
逃げろという言葉すら言う間もなくカミーラはベッテンに向けて大剣を振り下ろす。
その余波で辺りに衝撃波が生じ、その後金属同士がぶつかり合うようなすさまじい轟音が聞こえて来る。
「………どきなさいよ」
「やだね。アタイはクロ様から直々にこいつらが危なくなったら助けるように言われているんでね。たとえあんたが相手でも引くことは出来ねぇなぁ」
最早魔力と言って良いのか疑わしく感じてしまう程の魔力をまとったカミーラの大剣による一刀、上段からの一撃。
そかしその一撃は新たに表れた何者かによって軽々片手で持った真紅の大剣によって防がれていた。
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