第517話 あのデイモンですら子供扱いするような相手
数というのはたはりそれだけで力であり脅威なのだと思い知らされる思いである。
その間彼女達はアーマーエレファントだけでなくドレイク亜種ワ、イバーン亜種、銀狼亜種、サンドアーム亜種、それら親級などなど簡単に討伐していくのだから偶に目の錯覚ではないかと思ってしまうほどである。
しかし、そんな状況は日が完全に沈み闇が支配しだすころに脆くも崩れ去ろうしていた。
「ありゃ、死と血の匂いがあんまりにも濃すぎちょるきまさかと思うてここまで来てみたがけど、ウチのペット予定である坊や、ブラッド・デイモンはおらんがかえ。 あやつもやっと観念してウチのペットになる覚悟が出来たと思うて久しぶりに目覚めて折角ここまで来たがやのに」
それは闇夜の中でも月光により腰まで伸びた見事な銀髪を美しく照らし出されその存在感を否が応でも見せつけていた。
その瞳は赤い宝石のように輝き、その肌は陶磁器の様に白く美しく滑らかであり、恐ろしく整った顔で辺りを見渡している様はまさに貴族と呼ぶに相応しい人間離れした美の化身。
貴族は貴族でもヴァンパイアの貴族、それもブラッド・デイモンを見下し坊やと呼べる程の存在。
そんなものなどこの世にただ一人しか居ない。
ヴァンパイアが種族として表現されるためにはブラッド・デイモン一人では、オス一体では表現しない。
さらにブラッド・デイモンは人間の血は吸えど自らの眷属を率先して作り出すという事はしない。
しかしこの世界においてヴァンパイアという種族が存在する理由、そして世界でヴァンパイアという種族が知られている理由、その理由が今目の前に現れたのである。
「やけんど、デイモンの坊やがおらん代わりに面白そうな玩具が折おるき、久々に楽しめそうやねぇ」
そう言うと件の美姫は嬉しそうに口角を歪め、まるで子供が公園へ遊びに行く様な足取りでベッテン達の前へと近づいてくる。
「気をつけろベッテン!! そいつは間違いなくあの吸血鬼カミーラだっ!」
その異様な光景故にどこか神秘的な雰囲気すら感じてしまいそうになるのだが、それを頭の中で鳴り響く警告音が霧散させてくれ、気が付いたら俺はベッテンに向かって大声で叫んでいた。
あのデイモンですら子供扱いするような相手である。
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