第509話何も知らない
故にステファニーの様に諦めるという事が出来ず、命短し恋せよ乙女と吟遊詩人の歌う歌詞でも良く使われる貴重な年数をずるずると消費してしまっているのだから。
気付いている上で無視されるのならば執着心若しくは強い恋心が無い限り諦めるという選択肢を取りやすく次の恋に移りやすい。
勿論ドルクの様に自分はモテる、イケメン、最強、全て完璧、故に落とせない女は居ないなどと勘違いも甚だしい頭の弱い奴にはそもそも諦めるという選択肢がない為意味をなさない人種がいるのもまた事実ではある為一概に当てはまる訳ではないのだが。
そんな日常ではあるもののある意味で戦場でもある状況下にいる三人の耳に一定のリズムで甲高く力強い鐘の音が聞こえてくる。
「魔物の氾濫ですっ!!」
それと同時に息を切らした伝令部隊の一人が血相を変えて状況の説明にやってくる。
◇◆◆◇
「あらぁ〜、遅いじゃないのよぅ貴方達。そんなに私の相手をしたいのかしらぁ〜」
「時間無い。 早くする」
「ヒァッハーッ!! 暴れ倒してやるぜ!!」
伝令が伝えた通り王国西側へ急いで行くと既に紫のライリー、黄のスン、黒のカイベルが到着しており戦闘に参加しているのが見える。
そのうち紫と黄が我々の到着に気づくと各々声をかけてくる。
カイベルに至っては相変わらず戦闘に入ると周りが見えなくなってしまうのか奇声をあげながら生き生きと魔物を屠って行く姿が見える。
「それにしても……魔獣が多過ぎるわね」
「そうだな」
「何それ。 魔物の氾濫が起こり、規模が大きい事が想定内でしたって感じ。 何を知っているのかこの私に吐きなさい。 洗いざらい」
「何も知らない。 ほら、無駄口叩いて無いで行くぞ」
ステファニーが俺の素っ気ない仕草一つで何か引っかかる部分があるのかつかかって来るのだがそれを適当にあしらい討伐に参加する様に促す。
ステファニーはまだ納得いかないのかふまんげな表情を見せるも状況が状況だけに珍しく素直に討伐に向かう。
そして俺はステファニーが怪しむ様にこの大氾濫の原因が何なのか目星は付いている。
恐らくだがブラッド・デイモンが定期的に間引いていた付近のダンジョン三つから魔獣が溢れて来ているのであろう。
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