第508話避けるなぁあああ!!
「そうだな、今彼女の旅の道中にベッテンが付いて行っているから最早馬の骨どころか妹の師匠みたいな感覚に近いな」
「べ、ベッテン……あのじゃじゃ馬娘の師匠ですって……?」
「ああ。 お前より強くて何より戦う様は美しいお方だ」
故にコンラッドは無意識のうちにステファニーを言葉の剣で豪快に切り裂いている事に気付けないのは仕方の無い事であろう。
しかし、仕方がないからと行って許す許さないはまた別問題である。
「そのお方は私よりも美しいのね?」
「ん? そうだが」
しかしそれに気付けないからこその唐変木であり、何当たり前の事を聞くんだ? という雰囲気を醸し出しながらコンラッドは地雷を踏みまくる。
ステファニーからすればコンラッドの為に着飾りコンラッドの為に化粧をし、コンラッドの為に淑女であろうと努力しているのである。
それはコンラッドがそうやって欲しいと言った訳ではなく、全てはステファニーのコンラッドをメロメロにさせる乙女の大作戦ハートと言うどこまでも自分の為の行為なのだがそれを「してあげてる」とキレるのが女性である。
「死ねーぇぇぇえええ!!」
「いきなりどうしたんだっ!? ちょっ、辞めろ!」
「避けるなぁあああ!!」
勿論価値観や常識が違えばそうでない女性もいるのだがここでキレる女性であるのがステファニーなのである。
そんなステファニーなのだがモテない訳ではない。
その容姿は美しく、そして強く気高く貴賓溢れるその容姿とオーラは波の男性ならば絶世の美女と称される女性である事は間違いない。
その実ドルクもまたステファニーに恋してしまった男性の一人であり、ステファニーが来てからと言うもの必死に口説き落とそう自分の武勇伝や昔やった悪さ自慢などを身振り手振りで話しかけているのだがその全ては気持ちいい程の無視、ドルクの気持ちに気付いているからこそのスルーである。
気持ちに気付けない唐変木と気付いているからこそのスルー、どちらにせよ事恋愛において彼ら二人を落とそうと思っている者達からすれば暖簾に腕押しでありこの点に関してはある意味で似た者同士である。
しかし気付いているからこその無視されるのと気付いていないからこそ無反応では似て非なるものでもあり、まだコンラッドの方が可能性がゼロでは無いと思わせてしまうあたりある意味で残酷なのかもしれない。
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