第499話マッチの火を消すかの如く
お姉ちゃんの魔術が失敗すればする程わたくしの黒狼が暴れ回るというお姉ちゃん依存の武装神機である為基本攻めるのはお姉ちゃん、守るのはわたくしという役目である。
そして今回お姉ちゃんが出したサイコロの目は五・四・五である。
最大値ではないもののお姉ちゃんのバカみたいに多い魔力量から繰り出される魔術にかかればハイエルフの王が放った魔術【地獄炎】など恐れるにあらず。
それはまるでマッチの火を消すかの如く炎がたちまち消えて行く。
それと同時にわたくしの黒狼に魔力ストックが四個ストックされる。
「………へ?」
その光景にハイエルフの王は何が起こったのか理解出来ず気の抜けた様な声を出してしまう。
そしていくら待てどハイエルフの王が放った【地獄炎】が発動する気配を見せず、逃げ惑うハイエルフ達も恐る恐るハイエルフの王へと視線を向ける。
それと同時に辺りからはハイエルフの王と同じような気の抜けた声がそこかしこから聞こえてくる。
しかしまだ油断はできない。
なぜならこのハイエルフの王には紙装甲とはいえこの私を一撃で沈めたトラップか何かを隠しているからである。
そうは言っても武装神機を纏った私達に効くとは思えないのだが、警戒して損はないだろう。
先程もわたくしの、警戒する事を怠り相手を舐めた態度があの結果を招いたのである。
その為とりあえず今はあれ以上の何かがある可能性も視野に入れて警戒をする。
その研ぎ澄まされた視野の中でハイエルフの王が不自然な動きをする動作が見えた。
次の瞬間、お姉ちゃんめがけマナの塊がまるで弾丸の様に壁から発射されるのを目視し瞬時に武装神機で噛み潰す。
噛み潰したマナの塊はわたくしの武装神機に吸収されマナストックカウンターが一つ増える。
その事からもとんでもない量のマナがこの一撃に使われていたことが伺えると共に改めてお姉ちゃんの魔力量の多さを再認識する。
「へー……なかなかの魔力量を塊にして打ち出していたのね。それに、一見模様やインテリア、装飾品は緻密に位置などを計算されて描かれた一種の魔方陣になっていたなんて凄いですわね」
「ば……馬鹿な。 一撃で見破り、しかも簡単に防いで見せただと……」
「奥の手は一度見せたら最早その意味を失くしましてよ?」
「知られたからと言って防げる攻撃では……」
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