第474話あれからあれから三日

「揃いも揃って何遊んでるのよ?あんた達。氷華で閉じ込めてる最中は時間も凍っているでしょうに」

「アーシェ・ヘルミオネ……?こ、こっちだって必死にやってるわよっ!!でも何をやっても蘇生しない………時間も凍ってる?」


 そんな時、クロ様の元へ新たな人物、アーシェ・ヘルミオネがやってくると共に挑発してくる。


 その挑発に言い返そうとした時、はたとアーシェの言葉に引っかかる物に気付く。


 何で私はクロ様を氷華に閉じ込めているのか?それは時間をも凍らせる、止める事が出来るからである。


 それは同時に蘇生魔法を使ったとしても………。


「やっと気付いたようね。クロお兄ちゃんの時間が止まってるんだから魔術をかけられてもそこから何か変化するわけないじゃ無い。当然その魔術も同時に止まってしまうんだから。


ほら、私がダメージバリアを念のため三枚クロお兄ちゃんに貼ってあげるからその氷華を解きなさいな」


 そして私はアーシェに促され慎重に氷華を解いて行く。


 私の魔力から優しく解放された美しい花は一瞬その姿を保つもピシリという音が鳴った次の瞬間粉々に砕け散って行く。


「クロ様!!」


 そしてその花が砕け散り、中からクロ様が解放され倒れこむ身体を私は優しく、しかし力強く抱きしめる様に受け止める。


 それと同時にクロ様の身体は時間が動き出し、ミズキとコーネリアがかけてくれた蘇生魔術により青白く輝き出す。


「どうやら蘇生魔術は成功したみたいね」

「そうみたいね……」


 その事に安堵したのは一瞬。


 即座に気持ちを切り替えて私は震えそうな両の手を強い意志で押さえ込み、クロ様の身体胸の上へかざすと水魔術段位三【癒しの水】を発動させクロ様の体力を回復させる事に集中する。


 しかし、確かに体力が回復しているクロ様は目覚める事はなかった。



◇◆◆◇



「あれから三日か……」


 クロが死に、そして蘇生されてから早三日が経った丑水時。


 あたりは月の淡い光と複数の寝息が辺りを包む。


 初めはその事にできの悪い冗談だと思ったのだが、実際こうして今も目覚めないクロの姿を見ると本当であったと信じる他ない。


 当然この三日、婚約者達やセラ達はクロのそばを片時も離れないのだが、何故かアーシェやミズキ、コーネリアにクロのメイドまでもが最低限の事以外はクロから離れようとしないのである。

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