第442話手加減されて負けた
流石に時と場合を選んで欲しいのだが女性にとってそれもまたある種の戦いなのだと一応私も理解しているつもりではある。
そんな彼女の髪は当然髪先まで手入れされており青色に輝く長髪をオールバック風に纏めてあげ少し上の位置でひとふさ縛りポニーテールにしている。
以前の私であったら緊張感のカケラも見えないミミリアに苛立ちつつもある種の羨望をその髪に注いでいたのだが、ボナの、まるで宝石か何かと思える程の輝きを放っている赤毛の長髪を見てからはミミリア自慢の髪もくすんで見える。
髪自体はよく見る一般的な少し燻んだ赤毛なのだからどの様な手入れをすればあのような輝きを放つのか不思議でならない。
ボナに付き添っている奴隷の金髪もまた宝石といって差し支え無いであろう事から、彼女たちしか知らない何かがあるのだろう。
「どうするもこうするも……ギルドとしてはお手上げです。何も出来ません」
「何も出来ませんって………このまま魔族の王に統治されるのを黙って見ているという事ですの?随分と甘くなられたのでなくて?」
「いや、これに関してはエルルが正しい」
そして本気を出したにも関わらず明らかに手加減されて負けたのである。
それもクロ・フリートの直属の部下などではなく一端のメイドにである。
その事を踏まえギルド側は何も出来ないと判断し、ミミリアは見るからに表情を険しくし私の意見に否定的な言葉を投げかけて来るが、逆に肯定的な言葉を今まで黙っていたこの中でも最もランクの高いパーティー、トリプルSパーティー竜の尻尾のリーダーであるダルク・オレカが放つ。
「騒然暮色のメンバーとこないだ会って来てまさにクロ・フリートの件で話していたのだが、もし騒然暮色のリーダーであるアイシャ・ウィルソンの話が本当なら我々がどうこう出来るレベルでは無いと結論付けるしかない」
「それはあくまでアイシャ・ウィルソンから聞いた話だけでの判断で無くて?あなた自身はあの戦闘を見ていないのでしょう?」
「確かにそうだが、その上でそう判断出来るほどアイシャ・ウィルソンは信頼出来る人である。それにどうせお前の耳にもあの戦闘の話は入って来ているのであろう?」
「それは……確かに私の耳にも入ってきていますけれども……到底信じれる内容ではありません。話を盛っていると考えるのが普通ではなくて?」
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