第431話貴族の懐を肥やすのみ
しかしながらボナさんと商店街の店主達の会話を聞き纏めてみるに、クロ様が統治してから以前まで納めるべき納税額などその他諸々はまだ何も変わっておらず、比較的一般的な徴収の請求をされている様である。
ここでエマは以前と何も変わって無いのに何故店主達はボナさんを通してクロ様のお礼を言っているのかと疑問に思っていたのだが以前までは提示された納税額プラス色をつけた額を徴収されていたのだと言う。それも納税額よりも高い額をである。
税金という名目で受け取ってはいるがその金は国に流れる事はなく貴族の懐を肥やすのみである。
即ち税金の不正徴収に横領をこの国の貴族達は当たり前の様にしていたという事である。
更に道路補修や水路の改善など集めた税金は目に見える形で自分達の街に使われている光景も以前以上に見られる様になり、その光景はいかに以前まで税金が貴族達に食いつぶされていたのかを物語っていた。
そして一番の要因は、そもそも生粋の帝国国民でなければ愛国心なるものは極めて低いという事であろう。
そしてボナさんと私はある程度食材や消耗品などを商店街で購入した後、旧都市のギルドへと足を運ぶ。
と言うのも私は使える魔術とスキルが極端に少なく、また戦闘で使える様な上等な物は一つもない。
そしてボナさんは魔術とスキルが一つも使えない唯一のクロ様の使用人である。
その為エマの教育係を決める大きな要因でもあったりする。
「では今日はこの依頼にしましょうか」
「はい……っ」
ギルドへやって来たボナさんと私は慣れた足取りで依頼が貼られている掲示板がある場所、依頼ランクCとかかれた掲示板の前に行く。
そして一通り眺めたボナさんは目ぼしい依頼を見つけたのかその依頼が書かれている用紙を掲示板から剥がすと受付まで持って行く。
「では依頼ランクC黄色王猿の討伐で宜しいですか?」
「はい間違いないです」
「畏まりました。 討伐依頼を受理致しましたので冒険者カードを提示して下さい………はい、確かに。 ではご武運を」
「ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます……っ」
そして慣れた手つきでボナさんが持って来た依頼用紙を確認、手続き、受理と流れる様に作業をこなして行く受付嬢は最後にボナさんと私のギルドカードを専用の機械で個人情報を読み込むとカードを返し依頼の成功を祈る言葉を紡ぐ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます