第419話百八ある必殺技
「街の清掃クエストの方が何倍も大変なのではないの?」
「……うん、キツイ汚い給料少ない……」
そうは思うも当の本人達がこれなので期待はしていない。
例えギルド内で先程の会話を盗み聞きしていた他の冒険者達に要らぬ不快感を与えてしまっていたとしても、以前の私達なら兎も角何ら危険ではなく至って安全であると言い張れるのだからレイチェル達を私がキツく指摘する必要は無いだろう。
別にセラ様やウィンディーネ様、それにルシファー様も似たり寄ったりだからというわけでは無いとここは私の矜持の為にも言っておく。
「何一人無駄に大人ぶった雰囲気醸し出しながら難しい顔をしているのよミセル。いくら大人ぶったって胸が大きくなるわけでは無いからね?」
「だ、だだだ……大丈夫っすよ?胸が無くっても大丈夫っすよ?」
レイチェルは殺して木っ端の微塵にするとしてベッテンが額に汗を掻き目を逸らしながらフォローする様は私の成長途中である胸がそこはかとなく痛む。
「成長とまってるっしょ」
「ひ…と…の…心を勝手に読むんじゃないわよ殴るわよ!?」
「ちょっ!?光属性付与のバフを自分にかけて殴ってくんなよ!!当たったらどうすんだよ!?」
「当てるつもりで殴ってんだから大人しく殴られなさいよ!?さもないと殴るわよ!?」
「み、ミセル言ってる事がわけわかんないっすわ!!落ち着こう!!ほら深呼吸っす!!」
そうは言われても許せないものは許せないものである。
人間十七年間も生きていればそういった許せないものの一つや二つできるものである。
だがしかし、私の後ろから必死になって羽交い絞めをしながら私の怒りを鎮めようと頑張っているベッテンの気持ちをほんの少しだけくみ取って深呼吸し、この気持ちを落ち着かせるのもアリなのではないのだろうか?
それにレイチェルと同レベルだといろんな意味で、そしていろんな面でも思われたくわない。
「やっぱり胸の大きさと器の大きさは比例するみたいだな……」
しかしここで更に煽ってくるレイチェルに私の百八ある必殺技の内のどれかが炸裂しそうになるのだが、ここまで来ると一周回って冷静になるのだから不思議である。
「……そうね、レイチェルの胸はクロ様に褒められなかったのだけれども私の胸は褒められたしね……」
「待て!早まるなミセル!!あぁああっ!?」
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