第361話タブレット
そしてミシェルはセラの言葉を渋々ながら受け入れ、セラの後ろへと下がって行くと、それと同時にセラがこちらに近づいて来る。
ミシェルも私達が勇者という強大な力を持った上で宣戦布告をし、今ここにいる事を理解しているようで私達の処分は辛いものは有るものの致し方ないと思ったようである。
「確かに、これ程の力を持っている者を捕虜を収監している場所に送っては簡単に脱走してしまいますね……どうしましょうか……?」
「簡単……ここにクロ様を呼べば良い」
「そそそ、そうですよね! そうですよね! 私達には分からないんですもの! ええ! ナイスですルシファー! 彼女達の能力や戦力をロックする方法は幾らでも有るのだけれども、やはり国防に関わってくる問題ですものね! 最良の選択をしなくたはいけませんしね! しかし困りまった事にどれを選択すれば最良になるのか分からないですもんね!」
どう殺せば良い見せしめとして勇者死亡という情報を周辺国家に知らしめる事が出来るのか話し合っているのであろう。
茶番劇もここまで来れば早く殺してくれと思ってしまう。
身体を動かそうにも黒の天使、ルシファーによる得体の知れない魔術で身体は拘束され、仲間は圧倒的な戦力差で精神を壊されかけ、もう一人は気絶させられているこの状況下ではそれこそ奇跡が起きない限り切り抜ける可能性はまずゼロであろう。
そんな私達の心情など気にも止めず、二人の天使は自らの主にどの様な手段で連絡するのかを姦しくも話し合っているのだが、その連絡方法が決まったのか話し合いは終わり、そして何も無い空間から板状のマジックアイテムを取り出すと何やら操作をしだすとその板状のマジックアイテムから男性の声が聞こえ始め、二人の天使と会話をし始める。
「有り得ない……嘘でしょ……?」
その魔道具を見て私は驚愕する。
なぜなら彼女達が使用している魔道具は私の世界にある科学と魔術を融合させた『タブレット』という魔道具に瓜二つなのである。
ただでさえ平均的に魔術技術が遅れているこの世界で、その魔術技術よりもさらに遅れている科学技術と合わさったところで『タブレット』を作る事はまず不可能であろう事は容易に想像できる。
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