第342話あまりの衝撃で思わず声をあげてしまう

 クロはそのビームをモーションから相手が撃つ魔術を判断し、紙一重で避けるとその避ける動きを利用し一気にスフィア・エドワーズへと距離を詰める。


 しかしもう少しでクロの装備している武器の攻撃判定がある距離という所で上空から黒いブレスが降り注ぎクロの動きを止める。


「無駄に息が合ってるじゃないか」

「ありがとうございます」


 そんなクロの悪態もスフィア・エドワーズは清々しいほどの美しい美貌を笑顔に変え答える。


 気を抜いてしまうと下手をすれば惚れそうな程の美しさで笑うスフィア・エドワーズにクロは見惚れそうになるのを意識の隅に追いやる。


 そしてスフィア・エドワーズはすぐさま後退し、舞い降りたバハムートの死角へと逃げ込む。


「成る程、これは苦戦しそうだな」


 スフィア・エドワーズとバハムートの息の合った立ち回りに苦戦を強いられそうだとは思うもののどう攻略したものかと思うと自然と笑みが溢れてくる。



◇◆◆◇



 見たことないスキル、見たことない魔術、見たことない戦闘が砦の外で繰り広げられているのが見える。


 その光景を見ている冒険者や兵士達は言葉を発する事も出来ずしかし目の前で繰り広げられる戦闘から目を背ける事もできない。


 逆に砦で働く者や子供達は滅多に見られない高ランク同士の戦いや本来なら見る事も出来ないような巨躯を持つ黒竜の立ち振る舞い一つ一つに歓声が上がる。


「なんなんだ……あのスフィア・エドワーズだけでなく黒竜も相手にして互角に渡り合うクロは………っ!?」

「間違いなくこの世界で一番強い私の夫です」


 無意識の内に溢れた私の言葉にサラが応えてくる。


「世界で一番かどうかは分からないが確かに想像絶する強さだな」

「だってあのアーシェ・ヘルミオネ相手に勝つぐらいですからね」

「へー成る程なー……………っはぁああああ!?」

「なんですかいきなり大声を出して」

「だだだってお前!? それって! アーシェ・ヘルミオネに勝った相手ってあのクロ・フリートなんだぞ!? アーシェ・ヘルミオネに勝ったクロ・フリートは魔族であって今戦ってるクロは人間ではないか!」


 サラが何気なく放った言葉を危うく聞き逃す所だったのだがその内容を理解した時あまりの衝撃で思わず声をあげてしまう。

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