第273話緊張感と羞恥心
そんなアーシェが可愛く思えついちょっかいをしてしまうとアーシェはクロの胸に顔を埋め表情を隠すと恥ずかしいのをがまかす様にクロに悪態を吐きながらクロを軽く殴りだす。
普段からこのくらいの可愛らしさを持って欲しいものだと今のアーシェを見て思う。
普段のアーシェから病んでる部分と変態の部分とストーカー気質の部分が無ければ普通に可愛いと思えるのだが今のアーシェの姿がいかに奇跡的な姿かというのは理解しているつもりだ。
今はただ性癖などよりも幸せな感情の方が勝っているからこそ引いてしまう様な言動や行動は目立たなくなっているのだろう。
しかしかそれは目立たなくなっているだけでアーシェがアーシェである事には変わりなくクロの体毛などを既に採取されている事に気付いたのならばクロは普通に引いていた事は間違いないのだが、体液の採取を忘れてるあたりやはりクロの推測も正しくもある事は間違いない無かった。
ちなみ昨夜の一部始終はクロから貸してもらっているスマホで録画し、さらに数個の水晶でも撮影してるあたりやはり変態というべきであろう。
◇◆◆◇
今私はもの凄く緊張している。
歩くだけでもギクシャクとまともに歩けず両の手足を一緒に出して歩いてしまっていたりして、それが見られていると思うと余計に恥ずかしいのだが、そんな気持ちすら関係無いと言わんばかりに自分の尻尾ははち切れないばかりにブンブンと風切り音が聞こえて来そうな程振り乱している。
そしてそれが、また恥ずかしさを倍増させる。
「どどどどど、どこにいい、いこうかしらね!!」
どうにかなりそうな緊張感と恥ずかしさを紛らわす為に口を開けば噛むはどもるは最悪である。
余計に状況を悪くしてしまい穴を掘って隠れたいぐらいである。
それでも自分の尻尾は少し垂れたものの相変わらず振り乱しているのだから私の羞恥心はとっくのうちの測定不能の値を叩き出し続けている。
「そうだな……商店街でも回ってみるのはどうだ?」
「い、いい…いいんじゃないかしら!?」
「じゃあ行こうかキンバリー」
「ひゃっ!? …は、はい!!」
そんな落ち着きのない私を責めるでもなく落ち着かせるでもなくただただ普通に相手をしてくれているクロの優しさに嬉しさが込み上げてくるのだが、やはりというかなんというかだからと言って緊張感と羞恥心がとける訳でも無くやはり噛むはどもるはでまともに返事が出来ないでいる。
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