第198話出来る事なら行きたくないのが本音
◇◆◆◇
「旅の準備もできましたし、そろそろ出発しませんか?」
「そうね……では行きましょうか」
ミセルに促されセラが次の目的地に向け出発することに了承する。
ギルドで帝国軍といざこざを起してしまった日から早三日が過ぎた。
あれから帝国軍は直ぐにこの街を離れたみたいなのだが大事をとって三日間を空けてからもう一度ギルドに向かい前回の報酬を必要な分だけ受け取ると旅の準備を終え今に至る。
「ところでこれから何処に向かうのですか?私は王都の中心部、アデンスとか行ってみたいです!!」
「旅行じゃないのだぞレイチェル!!」
「いいじゃない。人族の世界を案内するのも私達の役目じゃん」
「そ、それはそうなのだが……」
「それに、そんな事でいちいち怒っていたら本来胸に行くはずの栄養が使われてしまうかもよ?」
取り敢えずレイチェルを一度張り倒し、深呼吸一つ心を落ち着かせる。
別にレイチェルに言われたからでは無いのだが、本来胸に行くはずの栄養をレイチェル如きに使いたくないからだ。
「うーん、そうね。王都も行ってみたいのだけれど、一度北の方にあるダンジョンに行くつもりだけど良かったかしら?」
そして今方頬を腫らしているレイチェルにウィンディーネ様がセラ様の代わりに答えてくれる。
「ま、まさかとは思いますがあのゲルエイ山脈にあるダンジョンじゃ、ないですよね」
そして私はウィンディーネ様の発した「北の方にあるダンジョン」と言う言葉を聞きその恐怖から冷や汗を滝のように流しはじめ、それはレイチェルも同じだったらしく顔面蒼白になって震えているのが見える。
それもそのはずでゲルエイ山にあるダンジョンはそこに行くだけでもかなりの熟練者かつ強者で無ければ近付く事すら出来ず、またそのダンジョンは未だに最下層まで攻略して帰ってきた者がいないのである。
出来る事なら行きたくないのが本音だ。
「そうね、まさにそこを攻略しに行くのですよ」
しかしミセルの、どうか何かの間違いであって欲しいと言う願いはセラの言葉により無惨にも切り捨てられた。
「か、考え直して貰えないでしょうか?あのダンジョンが発見されてから40年、未だに攻略されて無いんですよっ!?」
「幾ら何でもたかがダンジョンに40年も誰一人攻略出来ていないというのは言い過ぎなのではないのですか……?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます