第197話【閑話】スムージー6








 眼が覚めると私はいつの間にかベッドの上で眠っていた。隣ではレイチェルも規則正しい呼吸と共に同じベッドで眠っているのが分かる。


 そしてあの悪魔のドリンクを飲む際身体が変化していく感覚があった為もしかしたらという淡い希望が私の中で湧き上がり、私は自分の胸を見やる。


 そこに広がるは絶壁。断崖。


 結果、私の胸は育たなかった。


 いや、これから育つだけなのだが……。


「ゔ……」


 ハイライトが消えた目で遠くの方にある山を部屋の窓から眺めていると、レイチェルが目覚めたみたいである。


 まだ脳が覚醒してないのかレイチェルは一回頭を振った後ボーとし始める。


「あら、二人とも起きたようね」


 そして私達が起きたのを確認する様に透き通る声が部屋に響く。


「ウィンディーネ様……」

「一応状態異常があった場合と体力が減っている場合を考慮して回復系魔術を二人にかけているのだけれど、一応様子見で少しベッドで安静にしているのですよ。セラには私から注意しましたから安心なさい」


 そしてウィンディーネ様は「セラの暴走を止めて上げれなくてごめんなさいね」と頭を下げる。


「いえ、私達はこの通り大丈夫なので……」

「……あれ?胸が大きくなってる…?」

「あら、セラが作ったスムージーは栄養価だけで見たら物凄く高いからその栄養が胸にまわったのかしらね?」


 おっと………一人死人が出るかもしれない。






チクショウ……この世に神は居ないのか……。


この夜一人の貧乳が世界の不条理に枕を濡らした。


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