第196話【閑話】スムージー5
「ええ。元よりそのつもりです。流石に他の仲間達には配らず私達だけで飲むというのは私の良心が痛みます」
そしてセラ様が物凄く良い笑顔でストレージからコップを取り出すとレイチェルにも青い液体を渡す。
「あ、あ、あ、あり、あり………」
「そこまで感動しなくても。ふふ、そんなに飲みたかったのですね。まだまだ沢山ありますから遠慮なんかせず飲んで良いですよ?」
「ありがとう……ご、ごご…ございます」
液体を渡されたレイチェルは半泣き状態になり呂律も回ってないみたいなのだが、セラ様はそれを喜んでいるのだと解釈し、レイチェルにおかわりを勧める。
藪を突き蛇ではなくヒュドラ(青い液体)が出てきたレイチェルは今、藪を突いてしまった過去の自分を後悔しているであろう。
「ウィンディーネとルシファーの分もありますから………あれ?いつの間にか居なくなっていますね。この場に居ないのなら私達だけで飲みましょう。この特製スムージーを飲めなかった事を聞いた彼女達はきっと後悔しますね」
そう言うとセラ様は「ふふ」と笑みをこぼし改めて乾杯ですと言うとコップを当てる。
セラ様の乾杯という言葉と共に三人は手にしたコップを口にして飲み始める。
一口、そのたった一口で私の口の中はコスモがペガサスで銀河である。
自分でも意味がわからないのだがとにかく小宇宙なのである。
不味いとか美味しいとか最早そんな次元ではなく私の身体が強化され変化していくのが分かる。
………強がった。普通に糞不味い。
確かに一口飲む度に、感覚的にはまるで新たなオートスキルが私の身体に追加されている様な感覚から来る高揚感とその不味さが打ち消しあって何とか飲み干せるレベルの不味さで留まっているといった感じか?
ふと気になりレイチェルを見ると乾杯と同時に中身を全て飲み干したのか、コップの中は空になっており、一気に飲んだせいか魂が抜けた抜け殻の様になっていた。
彼女はもう助からないだろう…。
だがしかしちびちび飲んでいても拉致があかないのも確か。ここは彼女の様に一思いで飲み干した方がその分直ぐにこの地獄から解放される為最善の様に思えて来る。
「ふー……っ行きます!!」
そしてミセルは意を決し一気に飲み干す。
うすれいく意識の中ミセルは聞いてしまった。
セラ様の「……不味……。こんなの飲める様な物じゃないわね」という呟きを。
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