第156話小賢しい事をしてくれます

「小賢しい事をしてくれます。しかし段位の高い魔術を使えば使うほど私との魔力量で差が広がる事に気づいていない貴方ではないでしょう?」

「まぁな。だがこれでアルの安全を確保できるのなら安いものさ」


 クロは魔術段位五、水魔術【泡の中の幻】を使う事により魔術段位三である白魔術【光の壁】をアルに施す。


 これによりアルの安全は確保できた代わりにアルからの援護もできなくなるのだが寧ろ足でまといになりそうなのでアルには悪いが閉じ込めておく。


 そしてこの二つの魔術で分かる通りクロが使う魔術のほとんどが段位一以上なのに対してルルが放つ魔術のほとんどが【研ぎ澄まされた知識】により魔術段位一に修正され、低コストで魔術を唱えているため、長期戦に持ち込まれれば魔力の枯渇によりクロの敗北は免れないのだろう。


 しかしそれはお互いの魔力総量が拮抗している場合の話である。


 レベル及びタウンを限界値まで上げているクロからすれば例え長期戦に持ち込まれたとしてもクロの魔力が先に枯渇するとはクロ自身思えないのだが、ルルの魔力総量が分からないのであれば用心するに越したことはないためできるだけ低段位の魔術で抵抗するようにするのだが、そもそものクロとルルの魔術を発動する回転率に差があるため結果クロの不利な状況は変わらない。


 そしてなにより街中での戦闘と言うことでクロは辺り一帯に影響するであろう高段位の魔術を使えない状況下という地理状況すらクロを縛り付ける足枷になっておりより一層クロを苦しい状況下に追い込む。


「徐々に私の魔術が当たって来ましたね。何でカウンタースペルにより打ち消せれないという高段位魔術で私を倒さないの?」

「分かってて聞くとか性格悪いのな」

「だって、虫けら共の価値ない命ごときに縛られる意味が分からないのよ」

「俺からすればお前も等しく虫ケラと平等の命だがな」

「ふふ、おかしな事を言うのねあなた」


 お互いにまだ余裕があるのか無駄口を叩くのだが、クロが被弾する数は目に見えて増えて来ているのが分かる。


 しかし今のクロにはエンチャント系水魔術の防御壁により段位五以下の魔術は無効化されて行くのだがルルは底段位の魔術を繰り出して行く。


 その行為がクロに違和感を与えるのだが、ギルティ・ブラットの世界では無効化したとしても別におかしな事ではなく良くある光景なので効果が危ない魔術は出来るだけ打ち消して行く。

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