第79話我慢できないと笑い出す

「では早速パーティー登録をして旅に出ましょう」

「あ、ありがとうございます!」

「かしこまりました」


 そしてセラ達は旅に出るのだが、旅に出た初日の夜にルシフェルのストレージには大量のお菓子しか入ってない事が、ウィンディーネのストレージには大量の水しか、セラのストレージには大量のクロ様をモチーフにしているであろう人形や刺繍が入ったハンカチなどが入っており、レイチェルとミセルは頭を抱えながら注意する羽目になった。



◇◆◆◇



「あの、怒らないで聞いてくださいますか?」


 ひとまず平原を抜けることにしたセラ達は旅を舐めすぎだとレイチェルに怒らえるのだが、その説教じみた長話が終わりかけたころ今までマシンガンのように飛ばしていたレイチェルの言葉は減り、セラ達の機嫌を伺うような態度をとり始める。


「はい。何ですか?」

「セラ様は魔王様のどこがいいのですかっ? てか何で人族まで魔王軍にいたのですかっ!?」


 そしてレイチェルはセラ達と一緒に旅をする理由の一つでもあり、疑問でもある事をセラに質問するのだが、隣にいるミセルがレイチェルの質問の内容を聴き、汗を滝のように流しはじめる。


「ちょっ、お前っ!? なんて事をきいているのですかっ!? すみませんっ!コイツに悪気は無いのです! ちょっと、いやかなり頭が足りないだけなんです!」

「何よ? ミセルだって不思議がってたじゃない? 魔族は分かるが何で人族まで魔王軍にいたのか。しかも魔王軍に入っていた人族は皆魔王様を尊敬しているように見えたって」

「なぜ今ばらすっ!? い、いや、そのだな…あのですね……魔王様すごいなーと思いまして…!!」

「ふふふ…あははははっ!」


 そんな二人の姿を見てセラが我慢できないと笑い出す。


「なんだ? お前たちは仲がいいとは思っていたのですがここまで仲がいいとは思わなくて…ふふ」


 ここまでの道中、二人の会話の節々から知り合い同士だとは思っていたのだが息の合った二人のコントを見せられ思わず笑ってしまうセラ。


 ウィンディーネを見ると彼女には珍しく笑うのを我慢しているのが見える。


「このアホとは幼少期からの腐れ縁です」

「私のおじいちゃんがミセルのお隣りさんなんです。ミセルは十の時までおねしょおおおおおおお痛い痛い痛いっ!」

「なるほど、幼馴染という奴ですね。仲がいいのも納得です。では、二人はお互いの事をどう思いますか? 憎いですか? 嫌悪感を感じますか?恐怖を感じますか?」


 そんな二人にセラは問いかける。


 二人は互いに負の感情を感じるかと。

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