第38話勇気

するとクロが優しく頭を撫でてくれる。それだけで私は幸せに包まれ今までの不安が嘘のように消えていき、代わりに温かな思いが溢れてくる。


 そこからはもう幸せすぎて、気持ち良すぎて、好きすぎて、幸福すぎる時間だった。


 途中ミヤコ婆さんに邪魔されたのだが、クロが私とそういう行為をしてくれる。それを思うと嬉しさがこみ上げてくる。


 だってそれはクロも私の事が好きなんだという表れだから。

 次こそは最後まで行きたい。その次を知りたい。今以上にクロを知りたい。

勇気を出して良かった。



◆◇◇◆



 この集落はノクタスの森と草原の境界線上にあり魔獣討伐の為に森で野宿する必要が無いため安全に魔獣を討伐しに行ける。


 魔獣の中には夜行性の魔獣もいるためムヌー狩りみたいに安全な場所を確保するのは難しい。


 しかし個々の強さではムヌーの方が上なためどちらが安全かは冒険者の力量しだいなのだが。


 ここノクタスの森に生息する魔獣は主に三種いて長く硬い一本の角を持つ一角ウサギ、硬い鱗に覆われ二本の巨大な角を持つ鎧兜鹿、そしてその鎧すら噛み砕く程の力があり群れで狩りをする魔狼で、そして今回討伐するのは一角ウサギと鎧兜鹿を討伐対象にするみたいである。


 ちなみに魔狼は頭が良く、人間が自分達にとって危ない存在だと理解しており滅多なことがない限り人里近くには現れないのだがもし万が一遭遇したら討伐するといった流れである。


 また、魔狼は他の魔獣や害獣を駆除してくれるため無差別に討伐して数が減ってしまうと逆に他の魔獣が増えて危なくなるので、どちらかと言えば益魔獣の分類に入るらしい。


 日本で暮らしていた時の知識だとこういうファンタジーに出てくる魔獣などは魔獣=人を襲う怖い存在が一般的だったのだが、この世界では魔法を使える獣の事を一纏めに魔獣と呼び、人に危害を加える魔獣を害魔獣、逆に利益をもたらす魔獣を益魔獣と呼び、一角ウサギは害魔獣に入るそうだ。


 可愛いい見た目に似合わず肉食で人間も襲い繁殖率が高い魔獣だというのだが、逆に人間の主な食肉でもある。


 そして今回メインで討伐する鎧兜鹿は臆病な性格で遭遇してもすぐに逃げられるらしいのだが、その討伐価格はムヌーの2倍である。


 角や革が高値で売れ、肉も美味らしく、自ら表れるムヌーと違い水魔法の濃霧を使いすぐに逃げる鎧兜鹿は討伐すること事態が困難なため、需要はあるが供給が少なく報酬も高くなるとミイアが教えてくれる。





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