約束

勝利だギューちゃん

第1話

「もし、私がお嫁に行けなくなったら、もらってくれますか?」


高校時代に、クラスの女子に言われた。

もちろん冗談だろう。

本気だったら、困る。


明るく社交的だったので、いくらでも相手がいる。

僕の事は、眼中にないだろう。


「いいよ」

そう、答えておいた。


で、10年後・・・


「約束通り来たよ」

あの時の女子高生が、僕の眼の前にいる。


引っ越して、連絡先は知らせていないんだが・・・


「君のご両親に訊いた」

「なんて?」

「〇〇くんから、結婚を前提にお付き合いさせてもらっています」


探偵か、何かか?


「ご両親は、私の事を覚えていてくれたみたいだね」

「何か言ってた?」

「『愚息を頼みます』って、頭を下げられた」


あのバカ親・・・


「で、何の約束?」

「言ったじゃない。『私がお嫁に行けなくなったら、もらってやる』って」

「冗談じゃなかったのか?」

「冗談でも、その気のない人に、もらってくださいなんて、言わないよ」


疲れる・・・


「君なら、いくらでも相手がいるだろう?」

「ううん。私の事を大切にしてくれる人じゃないと・・・」


女性は、頭を下げる。


「ふつつかものですが、よろしくお願いします。

私はあなたに、永久就職します」

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約束 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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